健康的なBMIとは?太りすぎない・痩せすぎない身体を目指しましょう!

緑の中で右手を伸ばす女性

「昔はスリムだったのに…」そんな輝かしいあの日を遠い目で想い出してはいませんか?

加齢とともにぷっくりしてくるお腹周り、痩せたくても痩せられない、そんな悩みは男女問わずにあることでしょう。

 

体重計に乗るのが怖いと感じるなら、今こそ恐怖と向き合うときです。「健康体」とは何なのか、その指針となるBMIについて本日は解説していきます。

 

また、肥満や痩せすぎがもたらす代表的な健康リスクについてもお伝えしていますので、ぜひ健康体を目指して読み進めてください。 

 

BMIとは?

BMIは「Body Mass Index」の頭文字を取った体格指数です。

肥満度や体型を評価するための指標で、体重と身長の関係を基にして算出します。

 

子どもには別の評価基準が用いられますが、成人(18歳以上)の場合はBMIが世界的な指標として採用されています。

 

 

BMIの計算方法

BMIの計算方法は、世界保健機関(WHO)の基準に基づき、

 

BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²

 

で求めます。

 

たとえば、体重が60kgで身長が170センチの場合、

BMIは

BMI = 60 ÷ (1.7 × 1.7) = 60 ÷ 2.89 = 20.8

として算出がされます。

 

この計算式から導かれる数値は、以下のように分類されます。

これは「肥満度」としての判定基準で、世界中で共通とされる数値ではありません。

 

以下の数字はあくまでも日本における肥満度の基準として設けられたものです。

 

  • 18.5未満:低体重
  • 18.5以上25未満:正常体重
  • 25以上30未満:肥満(1度)
  • 30以上35未満:肥満(2度)
  • 35以上40未満:肥満(3度)
  • 40以上:肥満(4度)

この基準において、BMI22が日本における体形の標準値とされています。

日本ではBMI25以上で肥満と認識されますが、欧米ではBMI30以上で肥満と考えられています。すなわち、人種や筋肉の付き方などの違いが発生する場合、健康体か否かをBMIのみで適切な判断ができるのかと言われると困難でしょう。

 

たとえば、同じBMI値であっても、筋肉量の多いアスリートと一般的な生活の人とでは、BMI値の持つ信憑性が変わってきます。

 

体重と身長のみで算出するBMIは、筋肉量の多い人の場合、正確な体脂肪の評価にはなりません。そのため、補助的な指標として用いられることが一般的です。

 

 

BMIで何がわかる?

BMIは身長と体重で算出する健康の指標ですが、先ほどもお伝えしたとおり「筋肉量」が考慮されていません

 

あくまでも、一般的な指標ですが、肥満度や低体重の状態を簡単に把握できるため、現状が気になる方はぜひ、前述の計算方法を用いてチェックしてみましょう。

 

それぞれの基準を以下にまとめました。

 

〇BMI 18.5未満=低体重:

栄養不足や体力低下のリスクがあり、免疫力の低下や骨粗しょう症のリスクが高まる可能性があります。

 

〇BMI 18.5〜24.9=標準体重:

健康的な体重範囲であり、生活習慣病のリスクが最も低いとされています。

 

〇BMI 25.0〜29.9=過体重:

肥満予備軍であり、将来的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まる可能性があります。

 

〇BMI 30.0以上=肥満:

心疾患、糖尿病、脂質異常症、関節疾患など、さまざまな健康リスクが高まるとされています。

 

 

BMIと体脂肪率の違い

BMIと体脂肪率は、どちらも体の健康状態を評価する指標ですが、測定の目的や方法が異なります。

 

BMIは肥満度や低体重を簡便に評価できますが、体脂肪や筋肉量の違いを反映しません。筋肉が多いアスリートはBMIの値が高くても、実際には体脂肪が少なく、非常に健康体であることがほとんど。

数字では表れてこない「健康」がそこにあります。

 

体脂肪率は、体重に占める脂肪の割合を示す指標です。

体脂肪計や特殊な測定器で測定され、体内の脂肪の量を正確に把握できます。

 

体脂肪は、身体に微弱な電気を流して計測するのが一般的です。

しかし、飲食や運動後の体内水分量によって数値に影響が出るとされており、医学的な指標としては用いられていません。

 

BMIだけでは筋肉量や脂肪量などを区別することができませんが、体脂肪率のみの場合も正確な指標とはならないのです。

 

BMI値が高くても筋肉質な人もいれば、痩せていても内臓脂肪が多いかくれ肥満のパターンもあるので、BMI値と体脂肪率との両方を確認することが良いでしょう。

 

 

BMIは高くても低くても問題

BMIは高すぎても低すぎても健康に影響を及ぼす可能性があります。

まず、BMIが高い、つまり肥満傾向にある場合、心臓病、糖尿病、関節の問題、さらには特定の癌のリスクが高まるという認識になります。

 

もちろん、過度の体重増加は日常生活における体の動きや姿勢、睡眠の質、呼吸に負担をかけることがあり、全体的な生活の質を低下させる可能性もあります。

 

※睡眠の質に関してはこちらのコラムで詳しく解説しています。寝ても寝ても疲れがとれない…そんな悩みのある方はぜひこちらのコラムもあわせてお読みください。

睡眠の質向上は仕事のパフォーマンスを高める!今日から取り入れたい毎日の新習慣!

 

一方で、BMIが低い、つまり痩せすぎの場合にも問題が生じます。低体重は、栄養不足や免疫機能の低下を引き起こし、感染症に対する抵抗力が弱くなるリスクが指摘されます。

 

また、痩せすぎていることで高齢になるほど骨密度が低下し、骨折しやすくなる可能性も。

痩せすぎていることでホルモンバランスの乱れや筋肉量の減少が起こりやすく、全身の健康に深刻な問題をもたらすこともあるのです。(骨粗鬆症については後程詳しく解説いたします)

 

痩せすぎに関する記事についてはこちらをご覧ください。

シンデレラ体重って何?痩せすぎがもたらすリスクを考える

 

要は、健康体であるには「標準」であることが大切。BMIが極端に高すぎる場合も低すぎる場合も、身体にさまざまなリスクが伴うことは間違いないでしょう。

 

 

知っておきたい肥満と病の関係・痩せすぎと病の関係

太りすぎていても、痩せすぎていても心身に良い影響を与えません。ここからは、肥満が健康にどんな影響を及ぼすのか、また痩せすぎていることで健康にどんな影響を及ぼすのかを解説いたします。

 

肥満と病の関係①糖尿病

肥満と糖尿病には密接な関係があり、特に2型糖尿病においてその関連性が顕著と言われます。これは、肥満により体内に過剰な脂肪が蓄積される状態となることで、脂肪がインスリンの働きを阻害する(インスリン抵抗性)ことによって、糖尿病の発症リスクが高まるからです。

 

インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込んでエネルギーに変える役割を持つホルモンです。ところが、肥満によりインスリン抵抗性が生じると、インスリン自体は十分な量が作られているけれどもその効果を発揮できない状態になります。

 

この状況下において、血糖値が正常に調整されなくなり、体内でインスリンの分泌が増加しても血糖値が高いままになるため2型糖尿病を引き起こすとされます。

 

また、肥満による内臓脂肪の蓄積はインスリン抵抗性を促進する要因の一つですから、肥満と糖尿病は深い関係にあると言わざるを得ません。

内臓脂肪が多いと、炎症性物質が分泌され、それがインスリンの作用を弱め、糖尿病のリスクをさらに高めます。

 

日常生活において過食や運動不足といった生活習慣は肥満の根本的な要因となりやすく、2型糖尿病の予防や管理において体重管理はとても重要だと言えるでしょう。

 

 

肥満と病の関係②高血圧

肥満傾向の人が必ず高血圧になるわけではありませんが、健康体の人に比べて肥満体形の人は高血圧のリスクが高まるとされます。

 

体内に過剰な脂肪が蓄積される状態が、高血圧の原因の一つとなるからです。

 

肥満の人が陥りやすいのは「塩分取りすぎ」による体内のナトリウム過剰です。味の濃い食事は美味しいのですが、血液中のナトリウム濃度が高くなることで血液量が増加します。

 

全身に血液を送り出すために必要な血流量が増加するということは、それだけ心臓にかかる負担も大きくなります。

 

結果、血管壁にかかる圧力が高まり血圧上昇、常態化することで高血圧患者になるリスクを高めてしまうのです。

 

また、肥満に伴う内臓脂肪の蓄積は、血圧の調整に関与するホルモンや物質に悪影響を及ぼします。

 

肥満が長期間続くと、持続的に高血圧の状態が続き、心臓病や脳卒中などの深刻な疾患リスクが高まってしまうのです。

 

 

肥満と病の関係③脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで酸素や栄養を得られなくなった脳組織が壊死する病気です。

肥満が脳梗塞のリスクを高める理由は、主に高血圧、糖尿病、脂質異常症など、肥満に関連する健康問題が著しいと言われます。

 

まず、肥満に伴う高血圧は、脳梗塞の最も重要なリスクの一つです。高血圧は、血管壁に過剰な圧力をかけ、血管を損傷しやすくします。これにより動脈硬化が進行し、血管内にプラークが蓄積され、血流が滞りやすくなります。

動脈硬化が進むと、血管が狭くなり、最終的に血栓が形成されて血管を完全に閉塞させ、脳梗塞を引き起こすとされます。

 

 

痩せすぎと病の関係①骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨が脆くなり、骨折しやすくなる疾患で、しばしば高齢者だけの病と捉えられがちですがそうではありません。

若年層であっても、痩せすぎていることで骨密度が低下すると骨粗鬆症になり得ます。

 

痩せすぎている人は、十分な体重負荷がかからないため、骨に適度な刺激が与えられません。骨は適度な負荷がかかることで負荷に負けないように自ら強固になるようにできています。

 

しかし、痩せすぎの状態では骨への負荷が少なく、骨の再生能力が低下してしまうのです。

 

また、女性ホルモンとして有名なエストロゲンは、骨を強くする作用を有します。この作用に似た物質は脂肪細胞で作られるのですが、痩せることで体内のエストロゲンが減少し、骨密度の低下につながる可能性もあるのです。

 

そして、食事制限で痩せすぎた人は、必要な栄養が足りていないため、カルシウムやビタミンDの不足により骨の健康が損なわれる恐れもあります。

 

 

痩せすぎと病の関係②月経機能の低下

先ほど痩せすぎとエストロゲンの関係に少し触れましたが、女性ホルモンであるエストロゲンが減少するということは、痩せすぎは月経機能の低下につながるということです。

月経機能が正常に働くためには、適切な体脂肪量が必要です。

痩せすぎにより体脂肪が不足すると、ホルモンバランスが乱れ、月経サイクルに影響を及ぼします。

 

これは、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という物質が関係しています。

 

レプチンは、エネルギーの状態を脳に伝え、エネルギーが十分であるかどうかを判断する役割を持ちますが、痩せすぎの状態ではレプチンのレベルが低下し、脳に「栄養が足りていない」というシグナルが送られます。その結果、生殖機能が抑制され、月経が停止することがあります。

 

月経に必要なホルモン分泌が抑制されると、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が促進されます。

 

コルチゾールは免疫系・中枢神経・代謝系などさまざまな機能に影響を与え、そのなかに卵巣機能の低下も含まれるため、月経機能の低下を招く可能性が高まるのです。

 

 

痩せすぎと病の関係③摂食障害

痩せていることが絶対的な美の価値観として囚われていると、摂食障害の危険性も高めます。

いわゆる「拒食症」は、体重増加への強い恐怖により、極端な食事制限をして体重を減少させる精神的な疾患です。痩せすぎの人は、拒食症の兆候や症状を抱えている場合が多く、心身に深刻な影響を及ぼすことがあります。

 

摂食障害は拒食もそうですが過食もあわせて発症することがあります。

拒食と過食を繰り返し、過食のあとに嘔吐をすることで安堵とともに自分への罪悪感を持ち、適切な治療を受けずにいると長年に渡り拒食と過食を繰り返すことも。

 

摂食障害の患者はしばしば自己評価が低いためと指摘されています。拒食症の場合、痩せすぎであっても体重が増えることへの強い不安を抱き、痩せている自分に対してのみ肯定的に捉えられる心理的な歪みが存在しているのです。

 

摂食障害は早期発見と治療が重要です。適切な栄養摂取と心理的サポートによって健康な体重を回復し、痩せすぎによる健康リスクを減らすことが求められます。

 

 

太りすぎない痩せすぎない!健康体が一番!

街を歩いていても、心配になる程痩せている人がいる一方、同じく心配になるほど肥満気味の人もいます。

「健康」な状態は標準的であることです。太りすぎていても、痩せすぎていても健康リスクは高まりますので、日常生活で「ちょうど良い」を目指しましょう。

 

そのためには、栄養バランスの取れた食事、適度な運動、高い質の睡眠など、毎日のルーティンが大切です。

そして、定期的に心身の状態をチェックすることも重要。弊社では企業で働く皆様の健康面に関するご相談をさまざまな角度から承っております。少子高齢化の時代、健康寿命が企業の寿命と言っても過言ではありません。大切な従業員とその家族を守るお手伝いをしております。

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