毎日の生活の中で、あなたが知らず知らずのうちに「習慣化」していることはありますか?
「習慣化?特にないな…」と感じたなら、もっとシンプルに捉えてみてください。
たとえば、朝起きて歯を磨く、顔を洗うといった「当たり前」は、実は習慣化によるものです。
「習慣化」とは、特定の行動を無意識に繰り返す状態であり、日常生活の中で「自動的」に行われる行動を指します。
実はビジネスにおいても多くの利点がある「習慣化」。なぜ習慣化できないのかといった面も考えながら、習慣化を身につけるためのコツをお伝えしていきます。
なぜ習慣化できるようになる?
朝起きてから仕事に行くまで、普段無意識に行っていることを箇条書きにしてみてください。きっと途中で投げ出したくなるほど、無意識に習慣化していることは多いでしょう。
私たちがこんなにも多くの行動を「無意識に」ルーチン化することができるのは、なぜなのでしょうか。
脳がパターン化しようとするから
習慣化は個人の強い意志が大事!と思われがちですが、実は「脳」が司っているのをご存知でしょうか。
習慣化は、脳による「行動のパターン化」といった能力が関係していると言われています。
「朝起きたら携帯をチェックする」これを無意識にしている人は多いはずですが、この機能は子どものころから植え付けられたものではありません。デジタルネイティブ以外の世代は、大人になってから習得した習慣化です。
ということは、大人になっても習慣化することができる、という証明にもなります。すなわち、強い意志や気力ではなく、脳に特定のきっかけを与えることで自動的に行動するようインプットすれば良い、ということ。
脳は、効率的に働くために行動をパターン化します。
パターン化することで同じ状況に対して毎回新たに考える必要がなくなり、エネルギーを節約できます。
繰り返される行動をパターン化することで、脳は労力を最小限に抑えながら最適な反応を示すことができるのです。
習慣化によるメリット
行動が習慣化すると、その行動が当たり前になり、生活に変化が起こります。良い習慣・悪い習慣がありますが、もちろん良い習慣が身に付けば、たとえ小さな変化であっても、メンタルに良い刺激を与えてくれることは明らかです。
ポジティブなマインドは、「学びたいスキル」や「続けたい活動」に意識を向けはじめます。これにより、スキルアップや自己肯定感の向上に期待ができるようになります。
ポジティブな変化が生活に与える影響は大きいといえます。大袈裟ではなく、新しい習慣が生活の一部に定着することでさまざまなことへの「効率」が上がり、ストレスが軽減され、目標達成へと繋がりやすくなります。
では、習慣化がもたらす具体的なメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
努力が苦でなくなる
ダイエットのためのジム通いや寝る前のストレッチ、自分磨きの英会話、節約のための自炊など、継続するには大変だと感じる「良い事」はたくさんあります。勢いに乗って始めたはいいけど三日坊主で終わった…といった経験をした人も多いことでしょう。
続かないのは「行動しないと」と意識的に無理をしているからです。無意識に行動が習慣化すると、「頑張る」「つらい」と感じなくなっていくのが、習慣化最大のメリットでしょう。
行動を習慣化することで、日常の中でその行動が「当たり前」になります。当たり前になった後は、その行動をしないと落ち着かない状態にすらなるでしょう。
自信がつく
習慣化が身に付くと「自信」という大きなリターンがやってきます。
行動を習慣化し、何かを長期間続けられることは一つの成功体験です。この成功体験は自己肯定感の種となり、育つことで自信を高める効果があるのです。
これにより、「もっと高い目標に挑戦してみよう!」という気持ちにもなるため、好循環が生まれます。
そして自信が高まると、セルフイメージも向上するといった相乗効果も現れます。
セルフイメージとは、自分自身についての認識や評価を指し、自己肯定感や自信の根底をなすものです。
行動を習慣化し、継続的に結果を出すことで、自分の能力や価値を実感できるようになるでしょう。
これにより「自分はできる!」といったセルフイメージを強化してくれます。
セルフイメージの詳細解説はぜひこちらからお読みください。
劣等感にさようなら!セルフイメージを活かしてなりたい自分に近付く方法!
健康維持に繋がる
日々の生活において、習慣化はただの便利な方法論ではありません。ストレスフルな世の中で、心身の健康維持に向けた強力なツールにもなります。
習慣化を習得することで、健康的な生活習慣が自然と身につくため、長期的な健康を支える基盤が築かれます。
たとえば、毎朝のジョギングといった負荷の高いものや、朝起きてお白湯を1杯飲むといった簡単なことであっても、習慣にすることで、心身の機能向上が期待でき、ストレスの軽減に繋がります。
初めは意識的に取り組む必要があった行動も、習慣として定着すれば、無理なく日常の一部となります。健康維持に向けた努力が持続しやすくなり、結果としてライフスタイル全体の質が向上していくでしょう。
ビジネスにおける習慣化のメリットとは?
行動の習慣化は日常生活に良い影響を与えるだけでなく、ビジネスシーンでもメリットがあります。主には「業務の効率化」として良い影響が現れるでしょう。
習慣化された行動は、無意識のうちに行われるため、毎回の作業にかかる時間や労力の大幅な削減が期待できます。
たとえば、定期的な報告書の作成や会議の準備を習慣化することで、効率的に業務を進めることができ、全体の業務プロセスがスムーズになります。
他にも、後回しにする癖がある物事を「先に済ませる」習慣に変えておくと、そのときは面倒であっても後々時間のロスを防ぐこともできるでしょう。
結果として、貴重な時間を他の重要なタスクに充てることが可能になります。
このタスク管理もまた、習慣化の大きなメリットです。決まった時間にメールのチェックや会議の準備を行うことで、タスクを抜けなく計画的に進めることができます。
習慣化により、日々の業務がルーチン化されるため、タスク管理がよりシンプルかつ効果的になるのです。
習慣化のコツ
習慣化には、最初の段階でエネルギーや一定の時間が必要ですが、一度パターンが確立すれば、比較的少ない労力で継続できるようになります。
習慣化のプロセスを理解し、意識的に取り組むことで、効果的に習慣化を身につけることが可能です。
ここからは無理なく習慣化を身に着けるためのコツをお伝えしていきます。
継続を目標にする
習慣化とは、継続することです。この認識がとても大切で、習慣化で「得られる結果」を目標にするとハードルが高くなりすぎて挫折しかねません。
成果を得るためには、最初に習慣化そのものを目指すことが重要です。とくに、物事の継続が難しい人は、どんなチャレンジであっても習慣を根付かせることに意識を置きましょう。
健康維持でよくある「〇kg痩せる」といった大きな目標は、達成までに時間がかかります。経験のある方も多いと思いますが、途中で飲み会が入ったり、食べないことでストレスがたまりすぎてリバウンドしたり、自分を高める行動は、なにかとモチベーションが下がりやすいもの。
目標が遠いと感じると、習慣化どころか、諦める方向性へシフトチェンジしてしまう可能性もあるのです。
ダイエットであれば「毎日野菜サラダを1回食べる」に継続案として目標を切り替えると、同じようなダイエットの目標であったとしても、とたんにハードルが下がったように感じます。
このように、継続することを目標に設定し、その習慣を積み重ねることで、モチベーションを保ちながら確実に成果へと近づくことができるのです。
即効性を求めない
新しい習慣を取り入れるとき、多くの人が短期間での「結果」「変化」が現れることを期待します。しかし実際には、結果や変化は時間がかかって現れるもの。焦ってしまうと結果を手にすることなく終わってしまうことも。
習慣化とは、日々の行動を無意識のうちに行える状態にするプロセスです。アナログな方法ですが、少しずつ積み重ねていくことが習慣化の近道なのです。
即効性を求めるあまり焦ってしまうと、継続が難しくなります。結果を急がず、着実に続けることで、やがてその習慣が自然に生活の一部となり、長期的な成功を手に入れることができるでしょう。
とはいえ、何も成果が出ないままだとモチベーションの低下も招きます。
その場合、1週間で達成する目標、1か月で達成する目標、といった具合で期間を設けて中長期の目標を立てるのも効果的です。
イレギュラーは起こるものとして想定する
どんな場合でもイレギュラーは発生すると考えておきましょう。たとえば、毎朝ラジオ体操をすると決めても、発熱やぎっくり腰など、どんな体調不良が起こるかわかりません。
また、よくあるのは「急な飲み会」といったお誘いです。ダイエットや節約のために外食は控えていたとしても、参加しておきたいお誘いに「NO」と言うのは本当に健全なのかは疑問ではないでしょうか。
明らかに「今日はサボった方が良い」状態にあるのに、ただ継続をするために意固地になるのはナンセンスなことも。
「月に2回まではチートOKとする」「1回できなかったら次の月にリカバーする」など、自分なりのイレギュラー対応マニュアルを作っておきましょう。
周囲に宣言する
自ら「言った手前達成するしかない」状況に身を置くのも習慣化を身につけるために非常に効果的です。自分だけで決意を固めるのももちろん良いのですが、他人に知らせることで、より強い「強制力」を発揮することでしょう。
継続したいことを周囲に宣言することで、周囲からの期待や応援を受けることができ、モチベーションが高まります。
また、周囲の人々が進捗を気にかけてくれることで、自分に対する責任感も生まれるため、習慣化しやすくなるでしょう。
周囲に宣言することは自分自身にプレッシャーをかけることです。周囲の目があることで、途中で挫折する可能性が低くなり、続けるための力が得られるのです。
ノリの良い友人や同僚であれば、継続したい内容を一緒に頑張ってくる可能性もあります。「禁煙仲間」「ダイエット仲間」「習い事仲間」など、そこで新たな絆が生まれる可能性も秘めています。
「21日間の法則」について
21日間の法則とは、新習慣を形成するために21日間あれば無意識の行動になり定着する、という行動心理学に基づいたセオリーです。この21日間を過ぎれば、新習慣は生活の一部となり、無意識で行っていくとされます。
この法則は、1960年代に形成外科医のマクスウェル・マルツが著書のなかで提唱しました。
自身の患者が整形手術後に新しい外見に慣れるまでに約21日かかることを観察し、同様に、新しい行動や習慣も約21日間続けることで定着すると述べました。
この理論は、多くの自己啓発や習慣形成の文献で引用され、広く知られるようになっています。
ただし、最近の研究では、習慣が完全に形成されるまでの期間は個人差があり、平均して66日かかるという結果もあります。
また、習得したい内容によってその期間もまちまちであることも指摘があるので、21日間の法則は一つの目安としておくことがおすすめです。
重要なのは期間ではなく継続することであり、自分に合ったペースで続けていきましょう。
ホメオスタシスを理解しよう
ホメオスタシス(生体恒常性)とは、生物が一定の状態を保つために自己調整を行う仕組みのことです。例えば、体温や血糖値を一定に保つ機能がホメオスタシスの一例です。この仕組みは、習慣形成にも深く関係しています。
新しい習慣を取り入れると、体や心は過度のストレスを感じることがあります。これは、ホメオスタシスが働いて、以前の安定した状態に戻ろうとするためです。
たとえば、早起きを習慣にしようとする場合、最初のうちは体が疲れやすくなり、元の起床時間に戻りたくなることがあります。
ホメオスタシスはその言葉の特性上「習慣を習得せず元に戻りたくなる」ことの意味として用いられる場合がありますが、それは本来の「体内の状態を一定に維持する能力」という意味から派生したものと捉えてください。
確かに、変化はときに大きなストレスとなります。早起きを継続するにも、就寝時間を早めることや、スマホでゲームをしながら寝落ちするといった、人によっては至福の時間を削らなければなりません。
いきなり「明日から毎日22時には寝て6時に起きるぞ!」と無理をするのではなく、まずは小さな目標から始めると良いでしょう。毎朝日5分ずつ早く起きるようにすれば、体や心が新しい状態を受け入れやすくなります。
そもそもなぜ「習慣化」できないのか
習慣化できない理由は「目標設定に無理がある」「効果をすぐに期待しすぎる」などさまざまありますが、結局は「本気度」だと言われます。
それを言うと元も子もない、と感じられそうですが、人間ですから「絶対に必要に迫られていない限り」本気スイッチは入りにくいものです。
分かりやすい例でいけば、学生時代のテスト勉強。小テストと期末テストでは「テストに向けて頑張ろう!」という気持ちは違っていたことでしょう。
小テストであれば、期末テストで挽回すれば良いのですから、最悪悪い点数でも良い…。大人になってからであれば、タスクの締め切りまで時間があるから最悪締め切りまでにやれば良い…。マインドは同じです。
習慣化されるまでには、ある程度「本気」に追い詰められないとできないのが人間なのでしょう。だから、初めから大きな目標ではなく、継続できることを目標にするべきなのです。
コツを掴んで習慣化に成功しよう!
どんなことでも習慣化すれば負荷を感じることなく生活の一部にすることができます。
定着するまでは少し努力も必要になりますが、良い習慣を定着させれば、きっと生活、そして人生そのものを変えることだってできるでしょう。
まずは小さな目標から設定してチャレンジしてみてください。