求められるコミュ力!雑談力を高めて人間関係を円滑にする方法

オフィスで会話する男性二人





あなたの周りにも「何気ない雑談でぐっと人を惹きつける人」がいるのではないでしょうか?同じ話をしても、その身振り手振りや間合いによって、話を面白くできる人とつまらなくさせてしまう人。この違いこそ「雑談力」と呼ばれる、現代のビジネスパーソンに必要なスキルだと言われています。

ビジネスシーンにおいてこの「雑談力」は関係構築を円滑にする強いスキルです。今回は雑談のメリットや雑談力を高めるトレーニング方法などを解説します。

 

雑談力とは

雑談力とは、「雑談」、すなわち日常の会話や軽い「ネタ」で他人とコミュニケーションを取る能力のことです。

コミュニケーションを取る相手が親しい親しくないに関係せず、会話を繰り広げられるスキルを指します

雑談力が高いと、初対面の人とでも気軽に会話を始められるため、職場での休憩時間や友人との集まり、商談の前の「きっかけ」作りができるようになります。

高い雑談力は、高いコミュニケーション能力と認識され、ビジネス上では多くの人から信頼を得ることも可能です。

最近の風潮はビジネスにおけるあらゆる「無駄」を排除することを良しとしていますが、雑談とは言い換えればその「無駄」の際たるものでしょう。しかしこの無駄があることで、人と人との繋がり、体温のある関係性が構築できると言えるのです。

 

雑談力を身に着けるメリット

先日、あるSNSでは「挨拶をしない自由」なるものが話題となっていました。雑談とはその真逆にあるもので、対話力をもってスムーズなコミュニケーションを進めるメリットがあります。

普段の生活や仕事、さらには人間関係全般において、雑談力は大いに役立つスキルです。

雑談が持つポテンシャルに興味が出た方は、ぜひこちらの記事も合わせてお読みください。

雑談のポテンシャル!とりとめのない話をすることが心と企業を守ります!

 

ビジネスの場で有効利用できるスキル

ビジネスシーンにおいて雑談力のスキルを持つことをおすすめしているのは、雑談力によって信頼関係の構築が期待できるからです。

ビジネスにおいて信頼は非常に重要です。社内での信頼はもちろん、クライアントや営業先の商談相手など、信頼を構築できるからこそ大きな仕事が動いていきます。

雑談は、相手の人となりを知り、自分のことも知ってもらうことができます。

相互理解が深まることで話は円滑に進み、また相手から話を引き出すことで商談を有利に進めることすらできる可能性が高まるでしょう。

また、雑談は心理的な作用としてストレスからの解消というメリットがあります。人と話すことがストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げ、ストレスが軽減されるのです。

感情を言葉にすることで脳内の扁桃体の活動が抑制され、ストレス反応が和らぐことが指摘されています 。つまり、自分の感じていることを話すことで、心が整理され、ストレスを感じにくくなるのです。

完全にノーストレスの状態で仕事をする人はほぼいないことでしょう。些細なことであっても、ストレスは知らず知らずのうちに蓄積されていきます。

業務に関係のない雑談であっても、話をすること自体がストレス軽減となり、気持ちが軽くなることで周囲とのコミュニケーションも円滑になります。そして結果的に業務のパフォーマンス向上も期待できます。

 

新しいアイデアが出やすくなる

雑談が行われるとき、誰も身構えて「雑談しよう!」と話し始めません。ほとんどの場合、雑談はリラックスした状態で行われます。

リラックスした心理状態は創造的な発想を促し、新しいアイデアを生み出しやすくします。

ストレス下や緊張状態では思考が硬直し、直感的なアイデアは自ら否定してしまいがちです。とくに突飛なアイデアは、会議といった公式の場所では「発言して変に思われないだろうか」と不安になり、あえて発言しないこともあります。

その点、雑談であれば、あくまでも雑談ですから、自由で突飛な発想も発言しやすいものです。

リラックスした状態での雑談は、普段とは違う視点で物事を考えることができるため、創造的なアイデアがうまれやすくなります。

 

アイスブレイクになる

アイスブレイクとは、新しいグループや集まり、会議や商談といった場で会話を円滑に進めるためのテクニックです。まるで氷を砕くように初めての緊張や照れを和らげ、お互いの距離を縮めることを意味しています。

雑談力があると、このアイスブレイクがとてもスムーズになります。

初対面の相手と会話を始めるとき、どこから話を切り出せばよいのか難しく、かといっていきなり本題に入るのも無粋で困ったことがある人も多いのではないでしょうか。

本題に入る前のワンクッションとして、たとえば天気の話や最近のニュース、趣味や好きな食べ物など、ちょっとした話題を提供するだけで、お互いの緊張がほぐれて本題へ入りやすくなります。

 

雑談力が高い人の特徴

雑談力が高い人に対してどんな印象があるでしょうか。恐らく「頭の回転が速い」「言葉のチョイスが面白い」などがあげられるはずです。ここからは雑談力が高い人にある特徴を、細分化して解説します。

 

好奇心が強い

雑談力が高い人には共通して「好奇心が強い」という特性があります。

ここで、質問です。ニュース記事のタイトルが10個スマートフォンにあったとしたら、あなたは何個読むでしょうか。恐らく、興味のあるいくつかのトピックだけを読む人も多いはずです。自分の興味以外はなかなか好奇心が沸かないのは、自然なことかも知れません。

ところが雑談力が高い人は、どんな話題でも興味を持ちます。少しでも琴線に触れれば「知りたい」気持ちになって情報収集します。だから、どんなボールでも打ち返すコミュニケーション能力をもっているのです。

新しいことを知りたいという好奇心が旺盛だからこそ、話の引き出しが多く、どんな状況でも自然に会話ができるようになります。

 

聞き上手

雑談力が高い人は、もれなく「聞き上手」です。これは、雑談だけに限らず、会話が上手な人の特徴でもあるでしょう。

話下手な人からすれば、雑談力のある人は自分からの情報発信が上手いと捉えがちです。しかし、会話とは2人で繰り広げられるもの。1人で情報発信しているのは会話ではなく独演会です。

雑談力が高い人は、単に自分の話をするのが得意なわけではなく、むしろ、相手の話をじっくり聞くことができる人です。

相手の話に対して真摯に耳を傾け、途中で話を遮ったり、自分の話を無理に押し付けたりしません。このような姿勢が相手に安心感を与えることで、リラックスしてどんな内容でも話が進んでいきます。

雑談できる環境作りが上手い、と言い換えることもできるでしょう。

 

話し上手

聞き上手、の真逆になりますが、当然ながら雑談力が高い人は「話し上手」でもあります。

雑談力が高い人は、どんな状況でも自然に話を始めることができ、相手が興味を持つような面白い話題を見つけるのが得意です。

日常生活やさまざまなニュースに興味を持ち、豊富な話題を持っているからこそできる技です。

日常の些細な出来事を単純に伝えるのではなく、ストーリー性を持たせて「すべらない」状態で面白く語ることに長けています。

話の構成を考え、面白いポイントを効果的に伝えることを得意とするので、相手にとってわかりやすく、魅力的な話に仕上げることができるのです。

また、雑談力が高い人は相手に合わせて話し方を変えることができます。相手の反応を見ながら、適切なトーンやテンポで話を進めます。

相手がリラックスしている場合は、冗談を交えて楽しい雰囲気を作り、真剣な話題の場合は、落ち着いた口調で話を進めることで、その人自身の魅力が伝わり「また話がしたい」と思わせることも可能です。

こういった、相手に合わせたコミュニケーションが、信頼関係構築へと繋がるのです。

 

弱み(失敗談)を話すことができる

雑談力が高い人は、自分の弱みや失敗を隠さずに話すことができます。これは、一見するとリスクが高いように思えるかもしれませんが、実は大きな強みです。

どういうことか具体的な説明をするなら、失敗を笑いに変える、というと分かりやすいでしょう。

仕事上で完璧に思える人が面白く語る失敗談は、相手に親近感を与えます。「同じような失敗をしたことがある」という安心感から心を開きやすくさせ、信頼感に変わることがあるのです。

仕事での失敗談や日常生活でのドジなエピソードを話すことで、相手は「自分と同じような経験をしているのだ」と共感し、相手との距離を縮め、より深い関係を築くことができます。

 

誤った雑談力

雑談力のある人は確かに会話に困りません。しかし、先述のとおり、会話とは2人で行うものです。独りよがりになってしまっては、雑談力が高いとは言えません。

こんな話し方をしていないか、誤った雑談力の特徴をお伝えしますので、ご自身で振り返ってみてください。

 

会話のネタが少ないのに引っ張る

雑談力が高い人は、話題の引き出しが豊富で、自然に会話を進めていきます。しかしこれを誤って「会話を続ければ良い」と勘違いしている人も。。。

一つの話題に固執し、面白みが消失しているのにまだ続けるのは雑談力が高いとは言えません。

雑談力が高い人は、会話の中で相手の反応を敏感に察知し、話題を柔軟に変えることができます。

話をしていくなかで相手があまり興味を示さないと感じ取ったら、また別の話題にスムーズに移していきます。この繰り返しで、雑談は途切れることなく、テンポよく弾んでいくのです。

 

自分の話ばかりで盛り上がってると勘違いする

最も「痛い」タイプの勘違いがこの「自分の話ばかりする」人です。相槌を打ってくれる相手が「楽しんでいる」と思い込んでいるので、自分語りを止められません。

雑談力が高い人は、自分の話ばかりに偏ることなく、相手の話を引きだし、会話が一方通行にならないように気を配ります。

雑談において、自分の趣味や最近の出来事について話をするのはよくあることです。しかし相手がうなずきながら聞いてくれているからと言って、本当に興味を持っているかどうかは別問題です。

雑談力が低い人は、この違いに気づかずに「自分の話で盛り上がっている」と勘違いしてしまうのです。

よくあるのは上司部下の関係性において、上司が「自分が若いころは…」と話をダラダラ続けてしまうことでしょう。これはむしろ雑談力が低いというよりむしろ「ない人」…残念ながら部下からすれば雑談というより説教にも聞こえてしまうかもしれません。

雑談の場は役職など垣根を超えて発言できるカジュアルな場です。せっかく話の出来る場なのですから、相手に話をさせるくらいの気持ちで会話を楽しんでください。

 

雑談力の鍛え方

雑談で大切なのは「聞く力」「話す力」この2つです。この2つをもっと細分化して、どんなことに気を付ければ雑談力が付くのかを解説していきます。

 

「間」と「相槌」の重要性

雑談力を高めるために必要な要素はいくつかありますが、その中でも「間」と「相槌」は非常に重要なポイントです。

まず、「間」について解説します。雑談の中での「間」とは、話している途中に適度な沈黙を持たせることです。

この「間」は、話のリズムを整え、相手が考える時間を提供するために重要です。たとえば、話の途中で一瞬の沈黙を入れることで、相手に自分の言葉を理解し、反応する時間を与えることができます。この「間」がないと、一方的に話続けることになりますし、逆に「間」だらけだと会話の成立も難しくなります。

そして「相槌」です。「相槌」は、相手の話を聞いていることを示すために入れる短い言葉です。たとえば、「うん」「そうですね」「なるほど」といった相槌は、相手に「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というサインを送る役割を果たします。

ただし、相槌の付け方次第で、雑談がおもしろいと思われているかどうか、判断されることがあります。

適度なタイミングで相槌を打ち、感情を込めた相槌であることが大切です。逆に言えば、単に一定のリズムで「そうなんですね」と繰り返していると、相手に「この人は自分との雑談が楽しくないのかな」と受け取られてしまうリスクがあります。

相手の話に共感したり、驚いたりする気持ちを相槌によって表現することが話を盛り上げる重要な要素です。それがあるからこそ、相手に「話し甲斐」が生まれるのです。

 

話題の引き出しを増やす

雑談力を高める上で絶対的に必要なポイントが、多種多様の話題を取り入れることです。

日常生活や趣味、興味を持っていること、世間で流行していることなど、日頃から幅広く情報収集しましょう。なぜなら、雑談の相手がどのトピックに「喰いつく」かがわからないからです。

話題の引き出しを増やすことは、相手との共通点を見つけるための重要なステップでもあります。たとえそのジャンルに特別興味を持っていなかったとしても、知識として持っていれば会話を膨らませることができます。

たとえば、都道府県の名産や特徴などを押さえているだけでも、出張の話や、相手が出身地を話したときに話題を盛り上げることができるのです。

また、自分の「足」を使うのも雑談力を高める良いトレーニングになります。話題の店やスポットなど、ネットの口コミだけで良し悪しを判断するのではなく、自分自身の足で確かめにいくと、雑談の際のリアリティが面白さを底上げしてくれます。

そして、興味はなくても話題性の高いものは知識として知っておいて損はありません。世代を問わず流行っているドラマや映画、漫画といったエンターテイメントは雑談として盛り上がりやすいネタです。「好きじゃない」と一言で終わらせず、少しくらい見てみても良いのではないでしょうか。

 

話題の切り替えをうまくする

雑談をしているときに、適切なタイミングで話題を切り替えることは、会話に新鮮さを保たせるための技です。

ひとつの話題に飽きてきたり、話が行き詰まってきたりしたときに、新しい話題に移ることで会話を活性化させます。これも前述のとおり、話題の引き出しが多いことが大前提となりますが、もうひとつ、相手の反応を察知する能力が求められます。

相手の反応や表情をよく観察し、相手が興味を示しているのか、今の話を続けるべきなのかを判断しましょう。相手が無表情であったり、あきらかに愛想笑いをしていたりということがわかれば、別の話題に移るのが適切です。

相手の表情を読み解く練習はなかなか難しいかもしれません。注意を払って、相手の声のトーンや、しぐさなどを観察し、そしてあなた自身がどういう表情で面白い話/つまらない話を聞いているのかも確認してみましょう。自分を知ることで、相手の表情を読み解く練習になります。

 

結論を求めない

雑談をするときに、相手に結論を求めることは、良いコミュニケーションを損なう可能性があります。あくまでも雑談ですから、自由に会話を楽しむことに重きをおいてください。

結論を求めてしまうと、相手との会話に緊張感が走ります。ましてや上司部下、先輩後輩といった立場がある場合、相手は委縮して自由な会話が成立しづらくなるものです。

意見や感情を自由に表現できる環境を作るためには、結論を求めるのではなく、開かれた対話を促すことが重要です。相手との立場を考えた上で、相手が自由に話せる環境を提供できるようにしましょう。

 

共感する

先ほど、雑談では「相槌」が大切であるとお伝えしました。この相槌は、雑談中の「共感」を表現するのにとても大切な役割を担っています。

共感は相手とのつながりを深め、信頼関係を構築する上で非常に重要な要素です。

相手の立場や視点を「理解していますよ」と意思表示をすることで、相手は臆せずに会話を進めることができます。それは同じ「え?」という聞き返しであっても、喜怒哀楽を表現できる優れた話術です。

それは、非言語のコミュニケーションを磨くことにも繋がります。

雑談をするときには、言葉だけでなく、目の動き、姿勢、手の動き、声のトーンといった非言語のサインも重要な役割を果たします。これら全てがミックスされて、相槌を作ると言っても過言ではありません。

たとえば、基本中の基本ですが「笑顔」は相手に対する好意的な意志を伝えています

相手が困った状況の話をしているなら、ヘラヘラせずにしっかりと目をみて話を聞いてあげたり、逆にフランクな話をしているなら「オチ」のポイントでしっかり笑ってあげたり、こういった「気遣い」を習得するのも雑談力を鍛える方法です。

 

クローズドクエスチョン/オープンクエスチョン

クローズドクエスチョンは、短い答えを求める質問を指します。たとえば「昨日何食べたんですか?」「明日休みですか?」などです。特定の情報や答えを引き出すのに適しています。

オープンクエスチョンは、より広い範囲の情報や意見を引き出すための質問です。たとえば「休みの日は何しているのですか?」「先日のプレゼンどう感じました?」などです。オープンクエスチョンは、相手の考えや感情に対する理解を深めるために使われ、より深い対話を促進します。

雑談力を高めるためには、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの両方を使い分けていきます。

お気付きのとおり、クローズドクエスチョンの方が会話の導入としてはハードルが低くなります。初対面か、あまり認識のない人との会話であれば、まずクローズドクエスチョンから相手の興味を探り、会話の種を手に入れたら徐々にオープンクエスチョンへと切り替えていきましょう。

 

雑談力は鍛えられるコミュ力!

コミュ力とは、コミュニケーション能力のことですが、よく聞く単語になったかと思います。ずば抜けてコミュニケーション能力が高い人は「コミュ力オバケ」なんて言われていますが、雑談力は自分の意志で鍛えられるコミュニケーション能力です。

物事に興味を持ち、今の自分自身に直接関係のない話題であっても知識として知っておくことで、コミュ力オバケに転身する第一歩となります。多くの興味を持つことでライフスタイルの変化も期待できますので、ぜひいろんな情報を収集してみてください。