あなたは1日でどれくらいスマートフォンやパソコンといったデジタルデバイスを使用していますか?
仕事上、今やオフィスでパソコンは手放せないのは当たり前。なおかつ、通勤時間や帰宅してからの時間もスマートフォンの小さな画面で情報のシャワーを浴びている方も多いことでしょう。
よく「スマートフォンの使い過ぎは身体に良くない」と言われ、慢性的な肩こりや不眠などにも繋がるとされています。デジタルデバイスといかに「共存」していくのか、本日はデジタルデトックスについて考察していきましょう。
1日どれくらいデジタルデバイスを使っていますか?
13歳から69歳までの男女1,500人を対象に行った総務省のデータによると、日本におけるスマートフォンの平均使用時間は1日あたり約3.7時間であり、年代別では10〜20代が最も使用している結果となりました。
同調査における「スマートフォン」「フィーチャーフォン」「タブレット」「電子書籍リーダー」「スマートウォッチ」の利用頻度に対するアンケートでは、全世代においてスマートフォンの利用率が97.1%となっており、デジタルデバイスのなかでもスマートフォンを利用する人が多いことがわかります。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 <概要>https://www.soumu.go.jp/main_content/000887659.pdf)
しかしこれは「メディア」としてのデジタルデバイスを利用した時間ですので、仕事でデジタルデバイスを使用する時間は含まれていません。もちろん、仕事でデジタルデバイスを使用する頻度を含めれば、現役世代の数値はもっと高まり、かつデジタルデバイスの使用時間も10時間以上となることでしょう。
それほどに私たちは、デジタルデバイスとともに日常を生きているのです。
スマホ依存とは?
誰もが情報の海にたたずむ今、時間になれば陸へ帰る人もいれば、海で漂流する場合もあります。ずっと情報の海に漂う状態こそ「スマホ依存」です。
スマホ依存とは、スマートフォンを過剰に使用することによって日常生活に支障をきたす状態を指します。目的がないにもかかわらずスマートフォンを手放せない、常に手元に置いていないと不安になるといった心的な症状や、長時間の使用による目の疲れ、肩こり、慢性的な寝不足といった心身への影響がスマホ依存で発生しかねません。
こういった心身の症状の自覚はあるものの、スマートフォンの利用を自ら制限できない状態にあればスマホ依存の可能性は高いと言えるでしょう。
総務省の調査結果によると、インターネット依存の傾向にある人は全体の約20%となっています。
参考:総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf
先ほどのメディア利用としてのデジタルデバイス利用の調査において、ほとんどの人がスマートフォンを利用していることを考えると、インターネット依存=スマホ依存という構図が成り立つと言えます。
総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」より、インターネット依存傾向にあるかどうかの質問項目を以下に抜粋しました。ご自身が依存傾向にあるかどうか、ぜひ簡易でチェックしてみてください。
① ネットを利用していない時も、ネットのことを考えている
② より多くの時間、ネットをしないと満足できない
③ ネットの利用時間をコントロールしようとしても、うまくいかない
④ ネット利用を控えようとすると、落ち着かなくなったり、いらいらしたりする
⑤ もともと予定していたよりも長時間ネットを利用してしまう
⑥ ネットのせいで、家族・友人との関係が損なわれたり、仕事や勉強などがおろそかになりそうになっている
⑦ ネットを利用している時間や熱中している度合いについて、家族や友人に嘘をついたことがある
⑧ 現実から逃避したり、落ち込んだ気分を盛り上げるためにネットを利用している
回答率が高かった方は、デジタルデトックスを意識的に行って心身の健康を保つようにしましょう。
デジタルデトックスで得られるメリットとは?
デトックスとは、体内に溜まった毒素や老廃物を排出し、身体の機能を整えることを指します。そのデジタル版がデジタルデトックスです。
一定期間デジタルデバイスから離れることで、デトックス、すなわち心身をリセットし、デバイス依存から解放され、現実世界でのコミュニケーションや自然とのつながりを増加させることが目的の取り組みです。
「一定期間」ですから、完全にスマートフォンやパソコンを手放そう!といったものではありません。むしろこの時代に、デジタルデバイスが皆無の状態だと逆にコミュニケーションの不和に繋がる可能性もあります。
あくまでもデジタルデトックスは、私たちがより健康的でバランスの取れた生活を送るための一つの方法として、一定期間デジタルデバイスから離れてみましょう、というものなのです。
では、デジタルデトックスを行うことで、どういったメリットがあるのでしょうか。
ストレスの軽減
スマートフォンを何気なく見ていると、意図せずとも情報にたどりつくことがあります。それは必ずしも喜ばしい内容ではなく、怒りに満ちたような内容や、悲惨さに目を背けたくなるような内容まで多岐に渡ります。
一定期間デジタルデバイスから距離を置くことで、こういったネガティブな情報を遮断し、無意識に溺れていたストレス因子から切り離されることが可能です。
また、SNSでの人付き合いは、今やリアルな人付き合いと同じほど気疲れするとも言われます。こういったコミュニティから距離を置くのも、ストレス軽減へと繋がるのです。
睡眠の質向上
多くのスマートフォンユーザーは、寝る前までスマートフォンでメディアを楽しんでいることでしょう。手軽に動画や情報が手に入るので、ベッドに入ってスマートフォンを見るのは1日の終わりのリラックスタイムではありますが、実はこの行為が睡眠の質を低下させていると言われています。
スマートフォンから発せられるブルーライトは、睡眠を司るホルモンの1つ、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させます。これにより体内時計の狂いが生じ、睡眠不足へと繋がってしまうのです。
睡眠の質とスマートフォンの関係、そして睡眠の質向上に関してはこちらのコラムで詳しく解説していますのでぜひ合わせてお読みください。
睡眠の質向上は仕事のパフォーマンスを高める!今日から取り入れたい毎日の新習慣!
仕事のパフォーマンス向上
睡眠の質と関連付いた項目となりますが、デジタルデトックスで睡眠不足が解消されると、仕事におけるパフォーマンス向上の期待もできます。
睡眠が不十分な状態で仕事をすると、集中力や判断力が低下しミスを犯す可能性が高まります。また、クリエイティブな思考や問題解決能力などについてもも実力を発揮できない可能性があるでしょう。
もちろん、寝不足でストレスやイライラ、不安感といったメンタルヘルス不調を引き起こすこともあります。不機嫌が表情に出てしまっていては、チームのメンバーや上司とのコミュニケーションに支障が出ることで職場の雰囲気が殺伐しかねません。これでは、最終的に生産性も落ちてしまうことも考えられます。
デジタルデトックスを行うことで、自らのストレス管理を行い、心身ともに余裕を持って業務に集中することが期待できるのです。
肩こりや頭痛の軽減
スマートフォンやパソコンを長時間に渡って使用する際、首を前に突き出し、背中を丸めた姿勢をとりがちです。この姿勢は肩や首の筋肉に負担をかけ、肩こりや首の痛みを引き起こしてしまいます。
しかも長時間同じ姿勢ですから、歪んだ不自然な姿勢で身体を酷使していると言えるでしょう。
デジタルデトックスでスマートフォンやパソコンから一定時間離れることで、不自然な姿勢から身体を解放し、筋肉疲労から解放される期待ができます。首や肩凝り、ドライアイや腰痛といった痛みに悩まされている方は、癒しの時間としてデジタルデトックスを導入してみてはいかがでしょうか。
有意義な時間の増加
スマートフォンを見ていたら知らない間に数時間経っていた、そんな経験はないでしょうか。次から次へと出てくる情報を追っているうちに、思っている以上に時間が経っていることがあります。
しかし「絶対に必要な情報であったか」と質問されると、答えに困るはずです。
この数時間を、デジタルデトックスで有意義な時間に変えてみましょう。
次の章ではデジタルデトックスの具体的な方法をお伝えします。
デジタルデトックスの方法
デジタルデトックスはいきなりハードルを上げすぎても継続が難しくなります。デジタルデトックスは、実践可能な内容で「何をどうするか」を事前に計画することでより効果を発揮するでしょう。
スマートフォンの利用時間を可視化する
スマートフォンのアプリやウェブブラウジング、メッセージの閲覧など、スマートフォンの画面をどれほどの時間使用しているのかを可視化してみましょう。
数値として可視化することで、使用時間を調整するのに役立ちます。呼称はそれぞれ違いますが、それぞれのスマートフォンで「スクリーンタイム」や「デジタルウェルビーイング」という機能で利用できます。
スマートフォンの「設定」からアクセスが可能ですので、まずはお使いのスマートフォンの機能を利用してみましょう。
デジタルデトックス中にすることを決めておく
デジタルデトックスをするためにデジタルデバイスから距離を取ったとしても、することが無ければ手持ち無沙汰でまたデジタルデバイスに辿り着く可能性があります。ですので、デジタルデトックス中に何をするのかをあらかじめ決めておきましょう。
コツは「楽しそう」と感じることと「手軽」であることです。ヨガなどの身体を動かすことでも良いですし、あえてスマートフォンを持たずにカフェで読書をするのも良いでしょう。
いきなり「スマートフォンを使わない、snsを利用しない2泊3日の旅行」といったハードルの高い選択肢ではなく、少しずつデジタルデトックスの時間を伸ばしていくことが、継続の秘訣です。
並行利用をやめる
テレビを見ながら、お風呂に浸かりながら、食事をしながら、といった何かと並行しながらデジタルデバイスを使うことをやめてみましょう。
いわゆる「ながらスマホ」は、気付かないうちに習慣化していることがあります。とくに、1人で食事をしているときはスマートフォンを見ているという方も多いのではないでしょうか。
また、友達や家族と一緒に過ごしているのに目線はスマートフォンにある人を幾度となく見かけます。
ながらスマホは、手元にあるからスマートフォンをどうしても利用してしまいます。短い時間でも良いので、食事のときだけは、とか、友達と会話中だけは、など自分なりのルールを作ってデジタルデトックスをしてみましょう。
通勤時間でデジタルデトックス
先ほどのながらスマホに通じるところがありますが、通勤時間でスマートフォンが必需になっていないでしょうか。かつて、ひと昔前までは通勤電車の必需品は新聞や小説でした。隣の人の邪魔にならないように、新聞を縦長に折って読んでいる人、本当に多く見かけましたよね。
この通勤時間を、ひと昔前に戻してみてはいかがでしょうか。あえて、新聞や小説を読んだり、勉強時間に充てたり、窓の外を眺めるなどして、デジタルデバイスに依存しない時間にしてみれば、短い時間ですがデジタルデトックスの時間になります。
「通勤」という目的も兼ね揃えているので、無理せずデジタルデトックスの継続をしやすくなるでしょう。
最新の音楽プレーヤーを使ってみる
音楽をスマートフォンやデジタルデバイスで聴いている人も多いことでしょう。そんな音楽好きの方におすすめなのが、オフライン再生で音楽が楽しめる音楽プレーヤーです。
デジタルデトックスでジョギングや散歩をするにしても、音楽を聴きたいからスマートフォンが手放せない、そんな悩みを解決してくれるのが、オフラインで音楽を楽しめるガジェットです。
オフラインで利用できるため、移動や運動の時など、スマートフォンがなくても音楽だけを楽しむことができます。
少し前の音楽デバイスを連想させますが、音楽ストリーミングサービスを利用できる最新のガジェットとして登場していますので、気になる方は検索してみてはいかがでしょうか。
返信の遅い人になる
スマートフォンを手放せない理由の一つとして、連絡が来たらすぐに返したいという心理も指摘されています。たとえば仕事の内容が休みでも頭から離れない人や、恋人や友達とのコミュニケーションでいわゆる「既読無視」が耐えられない人など、他人からどう思われるのかを過度に気にする人はスマートフォンを手放しにくいと言われます。
「すぐに返信しなくてはならない」という心理的ストレスから解放されるには、あえて「返信の遅い人」になってみるのも良いでしょう。自ら見に行かなければ気付かないよう、あえて連絡通知をオフにする設定などもおすすめです。
デジタルデトックスで心身をリフレッシュさせよう!
「あえて考えない時間を作る」ことを生活に取り入れている有名人は多くいます。あえて考えない時間では、たとえば瞑想も1つですが、何もしないことで自分の心がいかにざわついているかがわかるというのです。
デジタルデバイスだけではなく、日常生活は「情報」に溢れています。この情報過多な現代ですから、意図的にデジタルデトックスを取り入れてリフレッシュすることはとても大切です。
最近集中力がない、眠れない、身体がだるい、という方、思い切って数十分からデジタルデトックスを始めてみましょう。