コラーゲンとは?メリットや効果的なコラーゲンの摂り方を紹介





コラーゲンと聞くと、「美容」や「健康」に良い「若返り」に効く食べ物!と頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。実際に身体にどのように役立つのかを知らない方もいると思います。

 

コラーゲンを摂る事のメリットや構造、コラーゲンが減る事によって起こる健康の問題など、効果的なコラーゲンの摂り方のポイントを管理栄養士・健康運動指導士が解説します。

 

知っているようで知らないコラーゲン

皆さんはコラーゲンと聞いて、どんなイメージを持ちますか?

 

「肌がプルプルになりそう」「若さを保つ為に必要」など、「女性の美容」に特化したイメージを持たれる事が多いかもしれませんね。

 

コラーゲンは実際に、健康食品や化粧品、ヘアケア商品、薬のカプセルや湿布剤などにも幅広く使用されています。今や私達の生活になくてはならないコラーゲンですが、実際にコラーゲンが何から出来ているのか、きちんと知らない方は多いのではないでしょうか?

 

コラーゲンの構造

コラーゲンはタンパク質の一種で、人間の体を作るのに欠かせない栄養素です。3重らせん構造をしていて、3本の鎖がコイルのように巻いている形をしています。この構造は他のタンパク質には見られず、コラーゲンならではです。

 

人間の体のおよそ60%は水分でできていますが、その次に多いのがタンパク質です。タンパク質は体重の約20%を占めています。例えば体重が60㎏の女性ですと、体に含まれるタンパク質の重さは 12㎏になります。全体重の20%あるタンパク質のうち、コラーゲンは30%を占めているので、コラーゲン量は3.6㎏という計算になります。

 

人のコラーゲンは生まれた赤ちゃん1人分の重さがあると思うと意外に多くのコラーゲンが存在する事がわかります。コラーゲンは皮膚に多く含まれている事はよく知られていますが、皮膚の他にもしなやかな骨を作ったり、関節で骨と骨のクッションとなる軟骨を滑らかに動かしたり、血管を強くする働きがあります。

 

代表的なⅠ型~Ⅴ型のコラーゲンについて説明します。

 

Ⅰ型コラーゲン

身体の中で一番多く、皮膚や骨、腱を作るコラーゲン。皮膚のコラーゲンの90%はⅠ型コラーゲンです。

 

Ⅱ型コラーゲン

Ⅱ型コラーゲンは関節や軟骨に特に多く含まれるコラーゲンであり、眼の角膜や硝子体にも含まれています。

 

Ⅲ型コラーゲン

Ⅲ型コラーゲンは血管に多く含まれています。皮膚のコラーゲンはⅠ型コラーゲンとⅢ型コラーゲンで構成されていますが、Ⅰ型と比較してⅢ型コラーゲンはしなやかな細い繊維である事が特徴です。

 

Ⅳ型コラーゲン

Ⅳ型コラーゲンは肌の基底膜に多く存在しています。基底膜とは薄い膜となって表皮の下にある真皮と接合している層です。Ⅳ型コラーゲンは繊維状ではなく網目のようなシート状の構造をしている事が特徴です。

 

〇Ⅴ型コラーゲン

Ⅴ型コラーゲンは血管や平滑筋、子宮、胎盤などに多く含まれるコラーゲンです。胎盤には魅力的なコラーゲンが多い事から、動物から採取したコラーゲンが化粧品や食品の原料として利用されるようになってきています。

 

皮膚の構造

皮膚は三層構造になっていて、上層が表皮、二層目が真皮、最下層が皮下組織です。表皮は平均0.2mmというとても薄い膜で、異物の侵入を予防し、皮膚内の血管や神経を守っています。真皮は表皮の内側にあり、皮膚の組織の大部分を占めています。

 

体内にあるコラーゲンの40%は皮膚に含まれており、血管から表皮に栄養や水分を送ったり痛みや触覚、温度を感じて保温や保湿を行う働きをしています。最下層の皮下組織の大部分は皮下脂肪で占められており平均で約10mmの厚さがあり、外部からの刺激をやわらげたり断熱、エネルギー貯蔵の働きをしています。

 

コラーゲンの働きと吸収の仕組み

コラーゲンは身体の中で細胞と細胞を繋ぐ働きをしています。私たちの体にある60兆個の細胞が適切に並ぶ事で組織や器官が作られており、細胞がきちんと並ぶための接着剤のような働きをしているのです。

 

コラーゲンは食べるとそのままコラーゲン組織になるの?と疑問に思った事があるかもしれません。

 

例えばコラーゲンがそのままの状態にあるサーモンのお刺身を食べた場合、口で噛み砕かれ細かくなりますが、この段階ではまだコラーゲンの三重らせん構造やゼラチンは残っています。食べ物が胃に送られると、ペプシンという胃液でコラーゲンを含む強固なコラーゲンも形を保つ事ができず、三重らせん構造が壊れてコラーゲンやゼラチンは分解され、ペプチド(複数のアミノ酸が結合したもの)になります。

 

この段階で三重らせん構造は壊れ、その後胃や十二指腸を通って小腸でアミノ酸、ペプチドとして吸収されます。吸収されたアミノ酸やペプチドは肝臓を経て全身に流れて行きます。

 

つまり、コラーゲンが多い食べ物を食べると関節や肌といったコラーゲンが身体の決まった組織に送られて機能するわけではなく、皮膚においては繊維芽細胞、関節においては軟骨細胞までといったように、全身の細胞レベルまで届けられる事が最新の研究でわかってきています。

 

コラーゲンと美容、老化の関係

少し夜更かしをしても20代では気にならなかったお肌の変化も、30代、40代、50代と年齢を重ねると「しわやたるみが気になる」「乾燥でキメが荒くなる」など、多くの人に共通する悩みが出てきます。体の中で最もコラーゲンが多い組織は皮膚で、皮膚組織はコラーゲンによって形成されていますが、お肌の弾力を作るのはエラスチンというタンパク質です。

 

老化するとコラーゲンの柔軟性が失われ、エラスチンが減少する事により、若い頃のお肌の張りを維持する事が難しくなります。

 

糖化による老化

体に起こる老化の原因に、「酸化」と「糖化」があります。酸化とは、日々呼吸をしているだけで溜まっていく活性酸素が細胞のDNAにダメージを及ぼし、生活習慣病をはじめとしたさまざまな疾病を引き起こすとされています。

 

そして、老化を進めてしまうもう1つの仕組みは「糖化」によるものです。糖化とは、私たちが毎日の食事で取り入れる糖の一部が体内のタンパク質中のアミノ酸と反応して、AGEsと呼ばれる老化物質が増える事です。AGEsは一度作られると減る事は無く、体内に蓄積されます。この糖化はわかりやすい例で言うとホットケーキを焼いた時の焦げの部分と同じメカニズムが体内で起こります。コラーゲンにAGEsがくっつくと、代謝がスムーズに行われなくなり老化が進んでしまうのです。

 

甘いものは別腹とよく言いますが、老化の予防のみならず健康の維持には甘い菓子パンやお菓子などは控えめにしておいたほうが賢明です。

紫外線による肌の老化と日焼け防止

紫外線を多く浴びた場合も、コラーゲンとエラスチンの機能が失われ、しわに繋がる原因となります。さらに日焼けをする事で肌の乾燥が進むため、ますます肌が荒れる原因となります。紫外線対策に帽子や日傘、日焼け防止のマスクなどを多様するのが良いでしょう。また、肌の乾燥を防ぐ為にクリームやローションなどの保湿剤でスキンケアを継続する事で皮膚を元気な状態に保つ事ができます。

 

コラーゲンと食事

体内に取り入れたコラーゲンはアミノ酸、ペプチドに分解され、その後ビタミンの力を借りて体内で合成されます。すなわち健康的な体作りやたるみ、しわの予防の為にはアミノ酸やビタミン類を含んだバランスの良い食事をするように心がける事が大切です。

 

コラーゲンを多く含む食事や効果的に摂るための食事についてご紹介します。

 

コラーゲンを多く含む食事

コラーゲンを多く含む代表的な食材は、肉類では手羽先、牛スジ、豚肉、魚介類ではフカヒレ、うなぎ、皮付きの鮭などです。

 

食事から必要なタンパク質を摂れていればコラーゲンが特に不足することはありません。摂取源となる食材は高脂質のものも多いため、脂質の摂りすぎによるコレステロール値の上昇には気を付けながらコラーゲンを含む食べ物を取り入れてみると良いでしょう。

 

コラーゲンを作る為に不可欠な栄養素もありますので加えて覚えておきましょう。それはビタミンCです。ビタミンCは皮膚や骨、血管を丈夫に保つコラーゲンの生成に不可欠な栄養素で、ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成ができなくなってしまいます。さらにシミの元であるメラニン色素の生成を防ぐ働きもあります。

 

ビタミンCはコラーゲンと一緒に摂るのか、別々でも良いのか、疑問に思うかもしれませんが普段の食事で食べる野菜や果物などから1日に必要とするビタミンの量(15歳以上で100mg)摂取できていれば、同時に摂る必要はないとの報告があります。

 

ビタミンCを多く含む食品は菜の花、赤ピーマン、芽キャベツ、柿、ネーブルオレンジ、キウイなどです。

 

健康食品とコラーゲン

健康食品に記載されている効果で、コラーゲン入りの物は「お肌がプルプルになる」、「膝の痛みが和らぐ」などといった記載をしばし見かけます。しかしながらその有効性についてはまだ十分に証明されているとは言えず、過剰な健康効果については過信しない事が大切です。

 

また、1日に食事から摂取しているコラーゲンの量は約1900mg程度で、肌症状の改善に役立つコラーゲンの1日の摂取推奨量は5000mg~10000mgとの研究もありますので、食事だけで理想のコラーゲンの量を補うのは経済的にも大変です。食事よりも手軽にコラーゲンを補給できるドリンクや粉末(コラーゲンペプチド)の健康食品を利用するのも良い方法ですね。

 

コラーゲンペプチドとコラーゲンはほとんど同じアミノ酸組成されているのですが、大きな違いは分子の量にあります。コラーゲンは分子が大きいため吸収されにくい一方でコラーゲンペプチドは分子が小さいため吸収されやすいといった利点があります。多くの健康食品やサプリは体に吸収されやすいペプチドを使用しています。味の変わらない粉末のタイプはお茶やコーヒーに入れて使う事ができますし、ジュースタイプのドリンクはおやつに飲む習慣をつけても良さそうですね。

 

骨や関節の健康に欠かせないコラーゲン

高齢になると気になる骨や関節の痛みとコラーゲンの関係についてご紹介します。

 

骨が弱くなる仕組み

肌の次にコラーゲンが多く含まれるのは骨や軟骨で、全コラーゲンの10~20%を占めると言われています。折れにくくしなやかな骨を保つためにもコラーゲンは必要です。骨が新しく生まれかわる代謝はいつまで行われているのでしょう?

 

実は骨の代謝は高齢になってもゆっくりと行われており、歳をとったらずっと古いままではないのです。

 

まず骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収(骨吸収)し、次に骨を作る働きをする骨芽細胞が吸収された部分に新しい骨を作ります(骨形成)。しかし、歳を重ねると「壊す」働きがスムーズに進まなくなるのです。壊す事ができないから、作る事ができなくなり、骨の生まれ変わりが遅くなり、骨の強度が弱くなっていきます。

 

骨折の原因になる骨粗鬆症

中高年に多い骨のトラブルの1つに「骨粗鬆症」があります。骨粗鬆症は骨の皮質骨や海綿骨にぎっしりと詰まっていたはずのカルシウムやリンがもろくなり、すき間ができてしまう事で起こります。

 

建物に例えると、コンクリートがスカスカの状態です。骨密度は20代がピークでその後に徐々に減っていき、60代ではピークの半分にまで低下します。

 

しかし最近ではコンクリート分部だけでなく、建物の鉄筋分部の強さも重要である事がわかってきました。これを「骨質」といい、骨密度に問題が無くても骨質が悪い事で骨粗鬆症になりやすい事が分かっています。

 

骨質を良くするためにも、骨に多く含まれるコラーゲンの力が必要です。すなわちコラーゲンペプチドを摂る事は骨粗鬆症をはじめとする骨のトラブルを遠ざけ、骨の代謝を促進して骨密度の維持・向上に役立つとされています。近年では若い女性でも極端なカロリー制限による無理なダイエットが原因で、本来必要なエネルギーやタンパク質、カルシウムが不足して骨がもろくなってしまう危険があります。

 

女性の痩せについてはこちらをご覧下さい。

シンデレラ体重って何?痩せすぎがもたらすリスクを考える

 

骨粗鬆症の予防には運動も必要

骨粗鬆症になるとちょっとした事でも骨折しやすくなります。転倒が原因で骨折してしまうと筋肉が衰えて要介護度が上がり、寝たきり状態になるケースもあります。

 

度な運動で筋肉量のアップや骨の新陳代謝を活発にし、骨・関節を強くする事が大切です。時間のある時にかかとの上げ下げをしたり、スクワットをする事で下半身の筋肉を効果的に鍛える事ができます。週3回以上、1回30分~1時間のウォーキングも骨を強くするのに効果的です。

 

中高年に多い関節の痛み

中高年世代に多い関節の痛みの原因は、加齢による軟骨の変化です。軟骨が薄くなる、軟骨を支える骨が変形するなど、軟骨のクッション機能が低下する事で痛みを生じます。加えて高齢になると筋肉が衰えて体の重みが膝関節に集中しやすくなる事も症状を悪化させる原因となります。

 

高齢になっても自分の足でイキイキと歩きたいという願いはセルフケアをする事によって叶えて行ける時代です。そのセルフケアで注目されているのがコラーゲンペプチドです。コラーゲンペプチドは軟骨や関節を支える骨の細胞に働きかけ、関節痛の軽減や変形を抑制する働きがある事が分かっています。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

コラーゲンは美容のみならず、将来の骨粗しょう症や膝関節の痛みを予防したりと人生100年時代のQOLを上げるために男女共に必要な栄養素です。基本的にはアミノ酸やビタミンCを含む食事を意識してコラーゲンを取り入れましょう。毎日の食事で補うのが難しい場合は、コラーゲンペプチド入りの健康食品を賢く利用し、補助をしながら体の機能を保ちましょう。

 

社員の健康管理については、ライフサポートサービス株式会社までお問い合わせ下さい。

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執筆者プロフィール~日比野 真里奈~
管理栄養士/健康運動指導士

生活習慣病になる人を減らしたいという思いから管理栄養士を目指す。
病院や高齢者福祉施設で栄養指導や栄養ケアマネジメントの経験を積み、現在は離乳食、食育、
生活習慣病予防、女性の健康の分野で食事から健康をサポートする仕事に従事している。2児の母。