加齢臭、気になるお年頃の方、多いのではないでしょうか。自分では気づいていなくても、ひょっとしたら「スメハラ」の加害を出しているかも知れません。
そんな書き始めをすると、対人恐怖症になってしまいそうですが、加齢臭は怖れる必要のないもの。ちゃんとその「臭い」の原因を理解して、対策を取れば、スメハラなんて無縁の存在になります。
そこで今回は、加齢臭について原因と対策を練っていきましょう。
加齢臭とは?
「加齢臭」にどんなイメージがありますか?
言葉で捉えると、多くの方が「おじさんの臭い」と答えるでしょう。可哀想に…無実のおじさんたちは「加齢臭」の餌食になってしまうのですが、残念なことに確かに「おじさん」と呼ばれる年齢と体臭は無関係ではありません。
いったいこの加齢臭、何が原因なのでしょうか?
加齢臭っていったい何?
「臭い」「匂い」は同じ漢字ですが、脳内で自動的に不快かどうかを判別できてしまいます。加齢「臭」は、漢字が表しているとおり、快適なニオイではないことがわかります。
そもそも「加齢」ですから、若いうちはそのニオイを発生させないということも表されています。
加齢臭は、文字通り中高年になると発生する特有の臭いであり、鍵を握るのは「酸化」です。
では、詳しく解説していきます。
加齢臭の原因ってなに?
加齢臭の主な原因とされるのは、皮脂腺の中にある「ノネナール」という成分です。
ノネナールの臭いはよく「古い油」「ろうそく」「古本」「腐ったチーズ」などと例えられています。
ノネナールは食品の中にも存在しており、少量であれば芳醇な香りにさせるプラスの働きをみせます。しかし、食費が劣化してノネナールが増えると、芳醇さから不快感へ変化するというデリケートな成分です。
人間も同じで、ノネナールが年齢とともに増加することで「加齢臭」を放つようになるのです。
ノネナールが発生するのはなぜ?
ノネナールは「パルミトレイン酸」と「過酸化脂質」とが結びつき、皮膚常在菌の作用で酸化・分解されることで発生します。
パルミトレイン酸とは、人間の皮脂に含まれる脂肪酸の一種であり、マカダミアナッツやアボカドオイルにも含まれる栄養成分です。
過酸化脂質とは、中性脂肪やコレステロールが酸化したもので、過酸化脂質が増えるとシミやしわの原因や、血栓や動脈硬化を引き起こすとされています。
キッチンで何日間も使用済みの油を放置すると異臭を放ちますよね。恐ろしいことに、加齢臭ではそれが人間の皮脂で起こっているということです。
人間の皮脂腺からは、常に新しい皮脂が分泌されています。皮脂そのものは、皮膚を乾燥から守るために分泌されているのですが、過剰に分泌が起こると臭いの原因となってしまいます。
加齢によって増えてしまったパルミトレイン酸と過酸化脂質とが、不快な臭いの元となっているのです。
加齢臭は何歳から強くなる?
一般的に加齢臭は「中高年以上」と認識されますが、「40歳代から臭いがきつくなる」と言われています。
臭いの原因であるノネナールは、40歳あたりから増加傾向になり、そこから長いお付き合いとなっていきます。
「じゃぁ、40歳まで臭ってないなら安心!」と思った若年層の方、そうではありません。20代までは「汗臭」、25歳を過ぎた頃から増加する「ジアセチル」という物質が放つ「ミドル脂臭」、そして加齢臭へ変化していきます。
40代は、ミドル脂臭の元となるジアセチルがまだある状態で、ノネナールが発生、そこへ汗臭も加わるため、臭いがキツくなるお年頃、と考えて良いでしょう。「汗臭」「ジアセチル」「ノネナール」の臭いの元コンボは、50代は半ばまで結託しますので注意が必要です。
ミドル脂臭ってなに?
加齢臭の前段階、ミドル脂臭は、30代半ばから始まるとされます。原因である成分「ジアセチル」は、汗に含まれる乳酸が皮膚の常在菌によって代謝・分解されることによって発生します。
ミドル脂臭は後頭部を中心に発生するとされており、これがしばしば言われる「枕がおじさんの臭い」という原因です。
女性は加齢臭がしない?
「おじさん」「おじさん」とばかり言われているので、加齢臭は女性と無縁に思えますよね。残念ながら女性も年齢とともに加齢臭の対策が必要です。
女性も40代後半あたりから女性ホルモンの減少が原因となり加齢臭の発生があるとされます。
女性ホルモンは皮脂の分泌や抗酸化の作用がありますが、更年期で女性ホルモンの減少、男性ホルモンが徐々に優位に立つことで皮脂量や酸化が進み加齢臭の原因となるのです。
更年期と加齢臭
更年期における自律神経症状の1つに「ホットフラッシュ」があります。男性の方はあまり聞き覚えがないかも知れませんが、女性はよく耳にする更年期の1つの症状でしょう。
ホットフラッシュとは、暑いわけではないのに身体がほてり頭や首の後ろから汗が出てくる症状です。
ホットフラッシュでかく汗は、運動時のさらさらした汗ではなく、皮脂やアンモニア、乳酸などを多く含んだ「べとべとした汗」であるのが特徴。
これが、体臭の原因となります。
このべとべとした汗は、毛穴にあるアポクリン線から出ており、エクリン線から出る汗(スポーツなどの汗)と違い蒸発がしにくいため、長時間肌に残ることになります。
「いつか乾くだろう」と放置するのではなく、こまめな汗ケアをしないと、べとべと汗が原因で加齢臭を放つ可能性が高くなってしまいます。
【悲報】男性の皮脂量は女性の1.5倍も!
「女性は大変だな」と少し安心した男性の皆様、ごめんなさい、現実的には、男性の皮脂量は女性よりはるかに多いと言われます。
ある化粧品会社が行った調査結果によれば、男性の皮脂量は女性の皮脂量よりも1.5倍多いとのこと。また、男性の方が女性よりもその対格差から筋肉量が多く、その分体温が高いため汗をかきやすい体質になるため、男性は年齢に関係なく汗ケアをした方が良いと言えるでしょう。
加齢臭はどこから出てるの?
加齢臭の原因は皮脂の分泌量と関係しますので、ある意味で加齢臭は身体中から出ている、という答えが正しくなります。
もちろん、皮脂腺が多く集まる場所で臭いは濃くなります。汗ケアをするなら以下の部分を最優先してみましょう。
〇頭と耳の後ろ
〇首の後ろ
〇背中
〇胸元
〇脇
これに加えて、女性の場合はブラジャーのワイヤー部分に汗が溜まると臭いの元になりますので、夏場は特に注意が必要です。
その加齢臭は「病気」のサインかも!!
年齢が上がって体から不快な臭いがすると「加齢臭」と決め付けてしまう方も少なくありません。しかし、体臭はある種の「健康バロメーター」。皮脂が出て臭いがするのは年齢のせいであって、病気ではありません。
しかし、病気が原因で不快な臭いを身体が発生させることもあります。たとえば口臭がきつい場合、これは加齢臭ではなく虫歯や慢性腎不全など、年齢以外に原因がある臭いです。
汗ケアをしっかりしても体臭がきつい場合、あるいは家族の体臭が急に変わったりした場合、念のために疾患を疑って医師の診断を受けるのも早期発見の足掛かりになります。
「自臭症」って知っていますか?
自分の臭いを気にするあまり、本当は臭いなんてないのに「自分は臭い」と思い込んでしまうのは、自臭症という対人恐怖症の1つです。
たとえば自臭症では「話の途中で相手が目を背けたのは自分の臭いのせいだ」といった認知の歪みが発生します。
多くの場合、20代以下の若年層で起こる疾患ですが、加齢臭をはじめ、あらゆる体臭を気遣いすぎた結果、精神的なストレスで自臭症を患う大人もいます。なかには、過去に体臭を指摘されたことをきっかけとし、発症するケースもあります。
体臭はデリケートな問題ですので、1人で抱え込みがちです。あなたがもし、過度に体臭を気にし始めているなら、まずは専門医に相談するところから始めましょう。
また、周囲に体臭を気にしすぎている人がいるなら、その他に「うつ」のサインが出ていないかを気にしてみてください。アンテナを張ることで、メンタルヘルス不調から救える可能性が高まります。
加齢臭の対策法
ここからは、加齢臭対策をお伝えしていきます。「スメハラ加害者」にならないように、毎日の加齢臭ケアの参考にしてくださいね。
しっかり汚れを落としてしっかりお風呂に浸かる
加齢臭の原因は皮脂からの脂ですから、脂ぎった状態で朝を迎えるのは絶対NG!
その日の汚れはしっかりとその日のうちに落としてから、寝室へ向かうようにしましょう。
できれば、お風呂にもしっかり浸かるのがおすすめ。身体を温めて老廃物を出やすい体質に変化させれば、加齢臭対策になりますし、温浴のリラックス効果でストレス臭の予防にもなります。
身体をしっかり洗うときは、石鹸をよく泡立ててから優しく身体を洗います。その際、臭いの発生源となりえる背中、首の後ろ、耳の後ろは入念に洗いましょう。
そして、眠る前だけではなく、出勤前やお出かけの前にシャワーを浴びるのも臭い防止に効果的です。
健康な人であっても、睡眠時に汗をかくことは少なくありません。
夜はしっかり疲れを取るための眺めの入力、朝は臭いケアとしてのシャワー、と使い分けることで加齢臭ケアはばっちりです。
オススメは薬用シャンプー!
毎日使うシャンプーですが、内容を気にしていない中高年の男性は多いのではないでしょうか。頭皮からも発生する加齢臭、毎日使うからこそシャンプーも臭いケアに適したものを使いましょう。
そこでおすすめなのが、薬用シャンプー。
殺菌成分や抗菌効果が認められている成分が入ったシャンプーを使い、丁寧に洗ってください。
具体的には
〇乾燥を防いでフケと痒みの防止になるピロクロオラミン
〇炎症を抑えるグリチルリチン酸ジカリウム
〇雑菌の繁殖を抑える殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノール
といった成分が、加齢臭対策になるとされますのでご参考ください。
シャンプー前は「お湯でしゃしゃっと濡らす」だけでは汚れが落ちにくいので、まずはお湯で丁寧に頭皮をマッサージ。
そして薬用シャンプーを泡立てて優しく地肌を洗いましょう。このときのポイントは「髪の毛を洗う」のではなく「頭皮を洗う」という意識を持つこと。抜け毛ケアにもなりますので、ぜひ今夜から試してみてください。
紫外線から身を守る
加齢臭の原因であるノネナールは、「パルミトレイン酸」と「過酸化脂質」とが結びつき発生します。この過酸化脂質は、ストレスや紫外線、喫煙などによって過剰に分泌されます。
とくに男性が怠りがちなのは「紫外線を避ける」ことでしょう。夏場、暑くても炎天下で肌を晒している方、あなたもそうではありませんか?
男性でも使いやすいさらさらした「日焼け止め」がドラッグストアで売っていますので、肌を守って加齢臭対策もするようにしましょう。
汗をこまめに拭く
加齢臭の大元である「汗」。どうケアをするのかが大切です。まず、汗をかいたらこまめに拭くこと、これは鉄則ですね。
大判の汗拭きシートを持ち歩いて、こまめに拭きとるようにしましょう。
汗拭きシートのなかには、顔も身体も拭きとれるものがあります。無香料のものも多くありますので、ぜひ試してください。
衣類を清潔に保つ
外出で一度着た服、自分で嗅いでみてもニオイがないからまだ大丈夫!なんて思っていませんか?
一度肌に触れた衣類は、洗濯をして臭いケアをしましょう。
衣類についてしまった皮脂は、時間の経過とともに酸化し、臭いが定着してしまいます。長年使い続けている下着は、定期的に断捨離をして買い替えるのも臭いを発生させないポイントです。
皮脂汚れに強い洗濯洗剤がありますので、アイテム選びから加齢臭ケアをしてみましょう。
寝具をこまめに取り換える
どれだけお風呂でしっかり汚れを落としても、寝具が雑菌まみれでは意味がありません。洋服と同じで、皮脂が付いてしまった寝具は酸化することで臭いの発生源となってしまいます。
定期的にシーツや枕カバーを取り換えて、寝室を清潔に保ちましょう。もちろん、パジャマも同様。
「汚れていないから」と同じパジャマを2日間使用するのはご法度です。肌に優しく、寝心地の良いパジャマを選んで、朝起きたら洗濯しましょう。
適度な運動
適度に汗をかける運動を取り入れましょう。運動で汗をかくことで、溜まってしまった皮脂が押し出されて加齢臭の改善になります。
また、運動することでストレスの発散になり、自律神経が整うことで睡眠の質と体質改善の期待ができます。
ただし過度な運動はかえってストレスとなり、今度は臭いの原因となる「活性酸素」を発生させてしまいますので、加齢臭対策には不向きなプログラムです。
加齢臭対策としては、ストレッチやウオーキングなどを取り入れ、加齢臭対策とストレスケアとの一挙両得を目指してください。
食生活の見直し
食べ物も体臭と深いかかわりがあります。普段から肉や乳製品を多く取っている方は、少し食生活を見直してみましょう。
肉や乳製品といった「動物性脂肪」は、多く摂取することで皮脂腺が刺激され、皮脂の分泌が促進されます。また、アルコールも同様に、毛細血管を拡張して皮脂腺を刺激するため、焼肉でビール、二次会でチーズの盛り合わせ!なんて最高の組み合わせは加齢臭には最悪のコンビネーションです。
たまには良いですが、普段の食生活は抗酸化成分を含んだ食品を取り入れるように心がけましょう。
抗酸化成分を含む食事をしよう!
抗酸化成分を含んだ食品は、食べることにより体内で生じた活性酸素を打ち消してくれる「できる子」たちです。
もともと、私たち人間の身体には、尿酸、アスコルビン酸、メラトニンといった抗酸化物質が備わっています。
しかし20代を境にこれらの物質は低下していき、身体は酸化、つまり「老い」がやってきます。
加齢臭だけではなく、アンチエイジングに必須なのがこの抗酸化成分を含んだ食品たちです。
具体的には
〇ビタミンC…緑黄色野菜、フルーツなど
〇ビタミンE…植物油、ごま・アーモンドなど
〇ポリフェノール…プルーン・赤ワイン・緑茶など
〇ミネラル…海藻、魚介、納豆など
〇カロテノイド…緑黄色野菜、柿、赤トウガラシなど
こういった種類があります。
もちろん、バランスよく食事をすることが大切ですので、偏らずに加齢臭対策の食事を心掛けてみてください。
加齢臭ケアはストレスケアが大切!
年齢とともに臭いが発生することは、ある意味元気で生きてきた証拠です。抗えないことですから、受け入れて、対策をたてるように心構えを変えていきましょう。
さまざまな対策方法をお伝えしましたが、どれも根底にあるのは「身体に極端なストレスを与えないこと」です。
極端に偏った食事や、極端に偏った運動不足、極端に偏った睡眠時間など、身体は悲鳴を上げやすく、その叫びが臭いとなっていることも考えられます。
1日の終わりはゆっくりとお風呂に浸かり、ストレスケアを心掛ければ、加齢臭は怖くありません。
華麗に年齢を重ねていきましょう。