不安定な時代に負けない!従業員個人の幸福にも繋がる組織活性化とは?

パソコンをして会議をする男女





「組織活性化」の言葉からどのようなイメージを持つでしょうか?

従業員それぞれが熱く闘志を燃やしながら働く姿や、あるいは上司も部下も一丸となってキラキラ輝き未来を見据える姿。

「活性している状態」にはおのずと前向きな姿勢がイメージできるはずです。

しかしながら「組織活性化」には「こうである」という統一された定義は存在しません。それゆえに、組織活性化をしようと上層部が躍起になっても、それが従業員の視点や声からかけ離れていては活性化させることが難しくなってしまうのです。

そこで今回は、組織活性化とはどういった状態で、なぜ大切なのか、そして活性化させる鍵となる取り組みなどをお伝えしていきます。

 

組織活性化とは?

先ほど「組織活性化に統一された定義はない」とお伝えしました。しかしながら「全ての従業員がイキイキと業務に携わっている」イメージは、共通の認識といえるでしょう。

組織活性化とは、「企業に属する一人ひとりが会社のビジョンや理念に理解をし、主体的に業務に取り組んでいる」様とされます。

「主体的」ですので、上司や同僚から無理やりやる気を出すよう言われ、目標達成する状況では、組織活性化ではないということになります。

 

組織活性化が注目されるようになった背景

組織活性化の鍵は「主体的」であることと先ほど述べました。実はこれこそ、組織活性化が注目されるようになった背景と言えます。

まだ、インターネットやIT化が進む以前のオフィスを覚えているでしょうか。

その光景を覚えている人は、次第と少なくなっていることでしょう。今40代半ば、いわゆる中間管理職の世代も、新卒のときにはすでに「イントラネット」が普及していたはずです。

それでも、現在の職場環境に比べれば、上司や同僚、部下とのコミュニケーションはかなり密度が濃かったことでしょう。

 

現在、IT化はもちろん、在宅勤務や業務の細分化およびアウトソーシングの普及で、従業員同士が対面でコミュニケーションを取る場面が減少傾向にあります。

対面型のコミュニケーションはさまざまな歴史を経て、「敵視」されてきました。

たとえば上司から仕事終わりに「飲ミニケーションだ!」と連れ出されることや、あるいは仕事の話かと思いきや完全にプライベートな部分まで乗り込んできてしまうハラスメントじみたコミュニケーションなどの時代を経て、ある程度、職場でのコミュニケーションは制限傾向になりました。

しかしながら、本来であれば必要であったコミュニケーション、いわば常在菌のようなコミュニケーションまでもが洗い流されてしまったのです。

その結果、現在では組織活性化には適切なコミュニケーションが必要であることが再認識されています。

 

あまりにも「個」の意識が高まりすぎると、組織そのものへの興味が薄れる危険性があります。成果だけを評価対象としてしまうと、所属している組織への愛着が生まれず、離職へと繋がりかねません。

どの業界でも人手不足が叫ばれている今、組織活性化は企業が生き残るための必要戦略と言って過言ではないのです。

 

組織活性化状態にある企業とは

 組織活性化状態にある企業は「皆元気でコミュニケーションが盛ん!」なだけではYESと言えません。冒頭からお伝えしているとおり、従業員が「主体的に」業務に取り組めているかどうかが判断基準になります。

具体的にみていきますので、あなたが所属している組織が活性化しているかどうか、照らし合わせながら読み進めてみてください。

 

企業理念が共有されている

組織活性化は、企業としてのビジョンや理念が共有されている状態です。業務は個人がそれぞれ目標をもって遂行していきますが、それが「何のため」「どういったゴールのため」という理念がなければ、あくまでも個人目標だけで終わってしまいます。

 ただ仕事を「やらされている」状態では目的意識が定着しにくく、企業への愛着が薄れます。

反対に、企業として掲げる大きなビジョンや理念が浸透している場合、従業員は今携わっている自分の仕事以上の先を見越した行動を主体的に取るようになります。

主体的に上司に提案したり、業務の効率化を主体的に考えたりと、個人ベースで活性化するため、組織全体が活性化しやすくなるのです。

 

従業員のモチベーションが高い

組織活性化状態では、従業員それぞれも活性化しています。そのため、モチベーションが高く、自分に課せられている仕事以上の成果を出す傾向にあります。

 

ここで「モチベーション」についておさらいしましょう。

今、なんとなく「モチベーション」と使っている人は、その意味を「やる気」と捉えている人も少なくありません。完全に誤りではないのですが、本来モチベーションとは「動機」のことを指しています。

仕事をする原動力が個人にあり「仕事をすること」自体に魅力を感じている状態をモチベーションが高い状態だと言えます。

ただ、モチベーションが高い状態とワーカホリックの状態とはしばしば混同されがちですので、ワーカホリックな状態かどうかについてはこちらの記事を読んで判断してみてください。

ワーカホリックは気付きにくい!燃え尽き症候群にならないよう正しい理解を!

 

上司と部下の相互理解が成り立っている

組織活性化状態では、上司と部下の関係が良好です。それは、一方が一方に気を遣っていたり顔色を伺ったり護摩を擦ったりして良好なのではなく、相互理解の上に成り立った関係性です。

いわゆる「ギスギス」した状態では、日々のストレスがパフォーマンスに大きく影響をします。「言いたいことも言えないそんな職場じゃ…」と離職はもとより、体調不良で訴えられてしまう可能性も秘めています。

上司と部下との関係性が良好であれば、仕事に対する議論なども活発に行われ、より良い成果を生み出すことができます。これはオピニオンダイバーシティといって、職場における多様性実現に大切な要因であると今注目がされています。

オピニオンダイバーシティについてはこちらで詳しく解説していますのでぜひご一読ください。

多様性の時代!ダイバーシティマネジメントで人材確保と企業のイメージUP戦略を!

  

従業員の成長する機会が設けられている

 従業員の成長は企業の成長に直結します。多くの従業員がステップアップできる機会が設けられている状態は、組織活性化に不可欠です。

 

たとえば現状に満足できていない従業員であったとしても、成長する機会、すなわち資格取得や各種セミナーなどがあれば、新たに目標を持つことが可能です。

また、1つ何かをやり遂げることに、成功体験が蓄積されることで、新たに主体的に取り組む強さも養われていきます。

「強さ」に関して、これからを支えるいわゆる「Z世代」の注視すべきアンケート結果があります。

某求人サイトで「Z世代」とされる今20代前半の若者に対して苦手意識のアンケートを行ったところ、「自発」が圧倒的に多かったとのことです。

組織活性化に「主体性」が鍵だとするならば、その鍵を持つのが中堅以上となってしまい、相互理解の溝を生んでしまう可能性が出てきています。

人材不足に悩む今、一度入ってくれた新人は絶対に逃したくない存在でしょう。しかし活性化された中堅層以上と新人との間で「温度差」についていけないといった問題も出ています。

若手の育成はこれまで以上に企業が取り組む課題として挙げられますが、また昔ながらの育て方では理解されないこともあるでしょう。

内向的であることが経験不足や自己肯定感の低さから来ているのであれば、成長のプロセスを手厚く用意することが長期に渡る優秀な人材確保の解決策とも言われています。 

資格取得やセミナーを通じて「できること」「プロフェッショナルであること」の成功体験が増えることで、少しずつ主体性を養うよう制度を整えることが重要です。

 

なぜ組織活性化が必要? 

「主体的」に行動をするためには、その組織に貢献したいという気持ちが動機として必要になります。しかし「組織に貢献する」というのは、バブル期の某CM「24時間戦えますか?」のように現在の価値観から少し遠のいている響きがしませんか? 

なぜ「個人の幸福」が最重要視される今、「組織」を活性化させることが求められているのでしょうか。

 

市場の変化が激しい 

昨今だけでみても、市場の変化が激しいことは誰しもが身に染みて感じていることでしょう。コロナウイルスでの行動規制、ウクライナとロシア、そして中東情勢に至るまで、現在の市場環境は不確実性があまりにも高いと言わざるを得ません。

 加えて、SNSの普及で顧客は「目が肥えた」状態になっています。顧客のニーズは情報量とともに急速な変化をしますので、そのスピードにどうついていくかは、組織として一丸となる必要があるのです。

 

VUCA対策となる組織活性化

市場の変化が激しく不確実性が高い現在のような状況を「VUCA」と表すことがあります。それぞれの頭文字は

 

V=Volatility(ボラティリティ):変動制→SNSやIT化

U=Uncertainty(アンサーテンティ):不確実性→自然災害や人口変動

C=Complexity(コンプレクシティ):複雑性→グローバル化・国際情勢の動向

A=Ambiguity(アンビギュイティ):曖昧性→消費意識の変動、消費者の価値感の変化

 

を意味しており、どれをとっても「安定」とは離れた意味を持ちます。

日本経済の礎となった高度経済成長期は「安定」が約束されていた時代でした。

大学を卒業して企業に入れば終身雇用、定年を迎えれば退職金をもらって、あとは年金とともに老後を安心して迎える一生。

物は売れて、貯蓄も増えた時代です。高度経済成長期は、物が不足していた時代で「作れば売れた」と言われます。バブル期には消費が1つのステータスとなりました。

作れば売れた時代、それは今となってはもう過去のことです。

企業を取り巻く環境は常に変化しています。情報・状況・状態をいち早くキャッチして一丸となって取り掛かるには、組織内での意識が分散していてはまとまりが取れません。

従業員一人ひとりが企業の理念に理解を示し、主体的に動いていくことが、VUCA時代を乗り越える対策となるのです。

 

組織活性化が個人の幸福につながる

組織における主体性を、心理学の側面から捉えてみると、組織活性化が個人の幸福につながるというのがわかりやすくなります。

組織において主体性とは、積極的に自ら行動することを指します。心理学において主体性とは、「主体的な気持ちでいられているかどうか」を指します。

同じことでは?と思われるかも知れませんが、少し違いがあります。

主体的な気持ちでいられている場合は変化に対応ができ、主体的な気持ちが低ければ行動することがストレスとなっていきます。

 

どちらも、対外的には主体的に動いて仕事をしているようにみえても、一方は心理的負荷を感じている状態です。 

主体的な気持ちになれない理由は個人により違います。たとえば、これまでの環境において自己肯定感が低くなっていたり、失敗の経験がトラウマとなっていたりとさまざまです。

組織が活性化した状態であれば、セミナーや資格取得など、従業員の自信につながる機会を設けることで、心理的な側面から主体性を習得する可能性が高まります。 

心理的な安定は個人の幸福において最重要事項です。組織活性化は、企業の業績向上だけでなく、従業員が個人として幸福を得られる心の状態を維持するためにも大切な因子だと言えるでしょう。

 

組織活性化を促進する取り組み

ここからは組織活性化するために、どういった取り組みをすれば効果的かをご説明していきます。

 

現状分析

まずは現状の把握からはじめます。人材の配置や人事異動、業務の属人化が起こっていないか、業務量が適切か、など組織活性ができる土台を確認します。

組織活性化するにはまず従業員の心身が健康であることが大前提です。この時点で躓いてしまっては、大きな変化をもたらすことができません。

それぞれにストレス因子を最小限に抑えられているか、現状の把握から始めましょう。

 

企業理念の共感

企業理念への共感は組織活性化の絶対的取り組みです。自分が所属する組織が、何を目的として社会にどう貢献していくかに共感できることで、主体的に仕事へ携わる熱意へと変わります。

企業理念に共感することで、仕事を通じて社会的使命感を持ちやすくなり、仕事において自分が何をすべきなのかを認識しやすくなるのです。

 

ミッション・ビジョン・バリュー

ミッション・ビジョン・バリューは経営学者のピーター・ドラッカー氏が提唱した、企業が示す方向性に重要とされる因子を表した用語です。

 

ミッション:社会にどのような価値を提供するか

ビジョン:中長期的に実現したい将来像

バリュー:大切にする価値観や行動指針

 

共感を得る企業理念において「ミッション」を言語化することが大切です。このミッションが明確になることで、企業理念に共感した人材が集まりやすくなるとされます。

 

コミュニケーションの活性化

IT化や在宅勤務が増えたことで、コミュニケーションが不足し、悩みを抱えこんでしまう場合があります。従業員同士のコミュニケーションを活性化したり、上司・部下間での対話を増やしたりすることで、人間関係が活性化します。 

上司・部下での定期面談では、直属の上司だけでなく、他部署や職種を超えて面談をするのも効果的です。また、面談の際、上司は極力傾聴の姿勢を保ち、部下が本音で話をできるように場を整えましょう。

 

人材育成システムの構築

従業員が成長できる環境を整えましょう。従業員の成長は「自己実現」として成功体験が蓄積されていき、企業への愛着も育ちやすくなります。

また、ベテランの従業員に新人の育成に協力してもらう方法も育成方法として有効です。マニュアルにはない事象の対応を伝えられるのは、長年現場で活躍してきたベテランが持つ強みです。まだ右も左もわからない新卒にとって「リアルな声」が習得できることで、より早く現場で活躍ができるようになり、自己肯定感が育ちやすくなるでしょう。

 

人事制度の改定 

従業員にとってモチベーションとなる1つは、やはり評価です。どれだけ頑張っていても正当に評価がされなければ、評価される企業へ移りたい…と感じるのは自然なことです。

 

上司だけでなく、複数の評価者によって行われる360度評価や、企業理念に沿って行動できているかを評価するバリュー評価など、公正な評価ができるように人事制度を見直してみましょう。

 

ITツールの導入 

IT化でコミュニケーション不足になった、とは言うものの、ITツールがコミュニケーションを促進するのも事実です。

チャットツールやSNSツールを導入することで、チーム内はもちろん、社内全体の連携をとることが可能となります。

また、日常業務で使う基本的なツールを、全ての従業員が使いこなせているかを確認することも大切です。

さまざまなツールを使いこなすことによって、情報伝達をスピードアップし、効率的に仕事をこなすことで組織活性化へと繋がります。

 

ウェルビーイング経営

すべての従業員が仕事を通じて幸福を得られるよう、ウェルビーイング経営を志してください。

メンタルヘルス不調を防ぎ、ただ仕事をこなすだけではなく、仕事を通じて毎日を充実させることで、組織で長く活躍してもらえる人材が定着します。

従業員がウェルビーイングな状態でいれば、組織は活性化され、離職率の低下や生産性の向上など、あらゆるプラスを生み出してくれます。

ウェルビーイング経営に関してはこちらで詳しく解説していますのでぜひご一読ください。

ウェルビーイング経営の指標とは?個人と企業が【幸福】についてできること

 

 

企業の成長には組織活性化が不可欠!

日々、ニュースを見てもわかるとおり、現在は「不安定」という言葉がしっくりくる時代です。何が起こるかわからない未来、企業を取り巻く環境も日々変化しています。

この変化が激しい時代、生き延びるためにはいかに対応できるか、変化についていけるかが鍵です。

心理的な負担や不安が多くのしかかる現代人にとって、心身を健康に保つのも安易ではありません。しっかりと従業員の健康と企業業績とを守るため、前向きな施策で組織活性化に取り組んでいきましょう。

弊社では従業員の心身の健康に繋がる様々な企業様のお悩みを積極的にサポートしています。

 

健康経営でのお悩みは、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

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