あなたは定期的な運動をしていますか?答えに詰まった方も多いかも知れません。
仕事帰りにジムに寄ってマシンで筋肉を育てている人もいれば、学生時代が最後、全く身体を動かしていない人もいるでしょう。
運動不足は忙しい現代人が抱える問題です。言わずもがな、運動不足は心身へさまざまな不調を招きます。
そこで今回は、今一度運動不足がもたらす問題点を考察していきましょう。オフィスにいる時間でできる「簡単運動不足解消エクササイズ」もご紹介していきますのでぜひ日常に取り入れてみてください。
日本人の運動量の現状
新型コロナウイルスが出る前、2019年に行った厚生労働省の調査「国民健康・栄養調査」によると、運動習慣の状況別、運動習慣改善の意思について、 男女ともに運動習慣のある者という項目では、「既に改善に取り組んでいる(6ヶ月以上)」と回答した人の割合が最も高く、男性 34.3%、女性 40.5%との結果が出ています。
運動習慣とは「1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している」とされているので、ある程度ハードルは高いかも知れません。
また「運動習慣のない者」では、「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の割合が最も高く、男性 31.2%、女性 28.2%。
「運動習慣の定着の妨げになるもの」としてはやはり男女とも「仕事や家事などで忙しい」ことが理由に上がってきています。
参考:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
この調査は新型コロナウイルスが出てくる前で、「出勤」が当たり前であった頃の数字です。
テレワークや働き方の多様性が根付いてきた今、通勤が唯一の運動であった人はさらなる運動不足に陥っている可能性があります。テレワークの期間で太ってしまうことを「リモート太り」というように、実は自宅と職場の往復だけでも良い運動になっていた方は多いのです。
では、運動不足が引き起こすさまざまなリスクを、目を背けずにみていきましょう。
「座りすぎ」のリスク
オフィスワークで避けて通れないのは「長時間同じ姿勢でいる」ことです。なかには脚を組んで長時間座って作業をしている人もいることでしょう。
この「座りすぎ」にはリスクが満載です。
座りっぱなしで動かしているのはキーボードを打つ指先だけ、そんな人もいることでしょうか。
このとき、体内では、筋力が使われないことで血中の脂質代謝が低下、中性脂肪が増加しています。
固定されてしまった足は夕方にはパンパン、なんて経験ありますよね。「第二の心臓」と言われるふくらはぎは、動かすことで筋ポンプとなり下半身の血流を心臓に戻す役割を担っています。
しかし座りっぱなしでいることで血流は滞り、体中の冷えや凝り、心臓への負担などさまざまな悪影響を生み出してしまうのです。
他にも、厚生労働省の発表では「座りすぎと二型糖尿病との関連性」「座りすぎと寿命の関連性」なども紐づけられていますので、座りすぎにリスクが多いことはお分かりいただけることでしょう。
参考:厚生労働省「座位行為」
https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf
その他運動不足が起こす影響と不調
普段、座りすぎていて「やばい!」と感じましたか?追い打ちをかけてすみません、もう少し、リスクを知って頂きます。運動不足が引き起こす心身の主な不調は、他にもさまざまあるのです。
肥満
運動不足と肥満は真っ先にイメージが結びつくことでしょう。先ほどの「中性脂肪の増加」ももちろん肥満の原因となりますし、単純に消費されるカロリーがないことから肥満へと繋がっていきます。
体重が増加することで腰や膝の負担にもなり、いざ運動をしようとしても疾患が妨げになる可能性もあるため、日頃から運動を取り入れることが大切です。
肩こりや腰痛
運動不足は筋力の低下を招きます。筋力が低下すると、姿勢を正しく保つことが難しくなり、前傾姿勢のまま長時間同じ姿勢で就業することになります。これは、いわゆる「猫背」の状態です。
パソコン作業の場合はとくに、猫背の上に首が少し前に出ている姿勢になる人が多く、この状態では血行不良による肩こりや腰痛、頭痛の誘発へと繋がってしまいます。
慢性的な肩こりや血行不良は呼吸を浅くし、自律神経を乱れさせて不眠への道と進んでしまうのです。
「寝ても寝てもすっきりしない」という方は、運動不足からくる自律神経の乱れに陥っている可能性があります。
生活習慣病のリスク
「生活習慣病」とは、脳卒中・がん・心臓病・糖尿病等を生活習慣という要素に着目して捉えなおした用語とされています。食事、運動、休養、飲酒、喫煙など生活の習慣が招いた疾患、ということです。
運動不足がさまざまな疾患の要因を作り上げてしまうため、どれが直接的な原因とは明言ができませんが、たとえば先ほどの「筋力の衰え」で考えれば、筋肉量が減って体温を維持することができないため冷え性へと結びつきます。
冷えは万病の元、と言われるとおり、ホルモンバランスの崩れや免疫力の低下などを招き、病に打ち勝つ身体を弱らせてしまいかねません。最低限の運動は、病気に打ち勝つ力(筋肉量)を維持するための予防策といっても過言ではないのです。
メンタルヘルス不調
運動不足と寝不足の関係性は、自律神経の乱れに関係があります。
まず、運動時は交感神経が優位となり、運動後は副交感神経が優位となるのですが、この口語に起こる優位性の変化が、自律神経が整った状態です。
ところが、交感神経が高まった状態が続くと、ストレスホルモンである「コルチゾール」が分泌され、副交感神経を抑えてしまいます。
交感神経が優位とは「緊張」が続いている状態であり、仕事ばかりで緊張の連続は交感神経優位が持続した常態ということです。同じ交感神経が優位な状態でも、運動後とは違って副交感神経が優位な状態を自然に起こすことができません。
副交感神経が抑えられるということは、リラックスできていない状態、すなわち緊張状態がずっと続いています。
これは精神面にも影響を及ぼし、過緊張の状態、食いしばりから肩凝りや頭痛、それにともない体調不良とメンタルヘルス不調、と悪影響が次々と繋がってしまうのです。
1日の終わりにリラックスして過ごせるように、睡眠の質向上には運動が欠かせないのです。
運動不足の人におすすめ!職場でできる簡単な運動不足改善法
運動不足を改善しよう!と意気込んでも、何から初めて良いのかわからない人や、ジムに申し込んだけど結局行かなくなった人など、運動が苦手な人は運動不足解消がなかなか難しいものです。
そこで、日常の習慣と意識を変化させて、運動不足の解消へ一歩進みだしてみましょう。 運動やストレッチが苦手な初心者の方でもできる、グッズも不要で座ったままできる超絶簡単なエクササイズですので、ぜひ取り入れてみてください。
自転車通勤や徒歩通勤する
忙しい方にとって運動の時間を取ることは簡単ではありません。「時短」で運動不足を解消するなら、自転車通勤や徒歩通勤に切り替えましょう。一駅前から歩くのも良いですね。
自転車通勤や徒歩通勤は、有酸素運動によって心肺機能が強化され、血液循環の改善や代謝の改善など、メリットがたくさんあります。
ただし、有酸素運動は筋トレと違って「効果」の即効性が見えにくいものです。「結局面倒になってやめる」といったことがないように、歩くルートを変えたり、ウェアを揃えて見たり、少し刺激も与えながら継続しましょう。
座る姿勢を正す
普段座っている姿勢を想像してください。長時間のPC作業を、「脚を組んで座る」「背中が丸まっている」「首が前に出ている」「完全に背もたれに依存している」といった人、多いのではないでしょうか。
もしも今、座ってこちらを読んでいるなら、以下の事を試してみてください。
① 背筋をしっかりと伸ばし、真っ直ぐ前を見る
② 背もたれを使わず、姿勢を保つ
③ 太ももを閉じて、床と並行になるように90度を保つ
この座り方をすると、下腹部に力が入るはずです。
その姿勢をキープして仕事をするのは正直大変ですが、ポッコリお腹の改善に繋がる嬉しい簡単エクササイズです。
1日のうち気がついた瞬間だけでも、この「正しい姿勢で座る」エクササイズを取り入れてみましょう。
また、着席の際に普段よりもゆっくりと座ると、スクワット効果もあります。
体側のストレッチ
背中から腕にかけて、いわゆる「脇腹」を伸ばしていきましょう。腰痛改善や呼吸が浅い方は、体側が固くなっている場合が多いので、仕事の合間にストレッチを取り入れてみてください。
まず、両手を頭上で組み、背伸びの姿勢をします。このとき、顎が上がっていないか注意してください。
息を吸いながら身体を伸ばし、息を吐きながら両腕を右側へ倒し20秒キープしてリリースを2回。反対側も同じように伸ばしていきましょう。
実は有能!貧乏ゆすり!
行儀が悪いとされがちな貧乏ゆすりですが、身体の運動として捉えると実はとても有能です。「ジグリング」と医学用語では呼ばれている貧乏ゆすりは、変形性股関節症の保存療法としても用いられている立派な運動です。
オフィスでこっそりとする運動としてはあまりにぴったりな貧乏ゆすり、足を小刻みに揺らすことで血液循環の促進をします。
また、ふくらはぎの筋肉の衰えを防ぎ、冷えの予防にも一役買ってくれます。
貧乏ゆすりを始める前は、脚の角度が90度になっているかをチェックするのがポイント。足が前に出すぎていると腰痛の原因になりかねませんので気を付けてください。
運動不足解消は無理なく継続が鍵!
運動不足に陥りやすい人のなかには、ハードルを上げすぎた結果続かなかった、という理由もあります。
「毎日腹筋50回するぞ!」と意気込んだところで、2日目でやる気が無くなっては意味がありません。どれくらいの頻度で運動をすれば良いのか、自分の体力との相談もあるので、まずは無理をせず継続できる内容にしましょう。
高く目標を掲げるよりも「今日は徒歩通勤して、明日は休憩時間にストレッチしよう」くらいのゆるい「予定」から取りか掛かってみてください。
隙間時間を使って無理なく生活習慣の改善を定着させることが、運動不足解消のポイントとなるのです。