働く女性と企業にメリットのある女性活躍推進法とは?





結婚して家庭を持ち出産をしても、社会の一員として働いて行きたいと考える女性は多いのではないでしょうか? しかし、女性が妊娠、出産といったライフステージの変化に対応しつつ昇進して行く為には様々な弊害がある事も事実です。

 

このコラムでは女性活躍推進法のポイントや背景について解説していきます。

 

女性活躍推進法の目的と背景

 

2015年制定、2016年に施行された女性活躍推進法の正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」で、2025年年度末までの時限法となっています。

 

女性活躍推進法が成立した背景には、①出産・育児を理由に離職せざるを得ない女性が多い事②国際的にみても日本における女性管理職の割合が低い事などが挙げられています。

 

女性活躍推進法の目的は、「就労し、社会で活躍したいと考える全ての女性が、そのスキルや能力を十分に発揮できる社会を実現すること」です。

 

【日本の女性管理職が少ない理由とは】

 

日本はなぜ、女性の管理職が少ないのでしょうか?

 

全就業者に占める管理職の女性の割合を世界で見ると、フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリスなどの欧米諸国に比べて日本、韓国、フィリピン、マレーシアといったアジア諸国の割合が低い水準にとどまっています。

 

日本の企業の特色として、勤続年数が長い人の方が評価や賃金が高くなる人事評価が当たり前に行われてきました。しかしながら、女性は出産の際に育児休業を取得する割合が男性よりも多く、育児休業期間が人事評価に含まれない企業も多くあります。2人、3人と出産回数が多くなるごとに同じ勤続年数の社員と比較された場合、昇進のチャンスが少なくなるという事実もあるのです。また、子どもを持ちたいと考える女性社員は不妊治療をスタートするケースも多く、不妊治療の段階によっては定期的に病院を受診しなければならない場合もあります。

 

厚生労働省の調査では不妊治療を経験した人のうち、16%が治療と仕事の両立が難しく離職をしているとの報告もあります。

 

不妊治療と仕事の両立のために

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14408.html

 

参考:厚生労働省

 

つまり、企業は女性に求められる仕事と家庭の両立は妊娠前から始まっているという認識を持つ必要があり、何より柔軟な働き方の実施が求められます。

 

【女性管理職が増える事のメリット】

 

日本では男性が管理職や主要業務を担う事が当たり前とされています。その理由は、女性社員が子育てや出産を経て働き続けられる環境が整っておらず、離職をしてしまう傾向にあるからです。なぜそこまでして女性管理職を増やす必要があるの?と疑問を持たれる方もいるでしょうが、女性管理職が増える事は企業で様々なメリットがあります。

 

◎管理職のダイバーシティ(多様性)が増える

管理職が男性ばかりの場合、会社の大きな進路を決める会議や商品の内容も男性目線になりがちですが、女性役員が増える事で組織全体に多様性が生まれ、組織が活性化します。結果的に柔軟な働き方の改善にも繋がるので、会社全体のイメージアップにもなります。

 

◎女性社員が人生設計を描きやすい

出世をする事は時間的にも精神的にもデメリットが大きく、なかなか前向きに考えられない女性も多いでしょう。そこで女性が管理職となって昇進する姿、ロールモデルとなる人を間近で見られる事は若い女性社員が結婚、妊娠、出産といった近い未来の将来像を描きやすくなり、働く事へのモチベーションが上がります。

 

◎人材の流出防止になる

子育てや介護といったライフステージの変化にも柔軟に対応でき、長く働き続けようと考える社員が増えると、企業のイメージや認知度が向上します。これにより、就職したいと思う求職者が増え、結果的に優秀な人材の獲得に繋がります。

 

女性活躍推進法とはこんな法律です

 

実際に、女性活躍推進法の改訂ポイントと内容を見ていきましょう。

 

【2022年4月に改訂された内容とは】

 

女性活躍推進法の対象となる企業は、改訂前は常時雇用の労働者が301人以上なのに対し

改定後では労働者が101人以上に変更されています。常時雇用の労働者数には正規の職員だけでなく1年以上継続雇用しているパート従業員も含まれます。

 

【改正された女性活躍推進法によって企業が取り組む事は】

 

改正女性活躍推進法に対応するために企業が取り組むべき課題は「状況把握・課題分析」「行動計画の策定」「社内外への通知と届け出」の3つです。それぞれの内容を確認していきましょう。

 

ステップ1【状況を把握し課題を分析する】

女性の活躍に関する状況を把握します。必ず把握しなければいけない項目が4つあり、算出方法は以下の通りです。

 

 ①採用した労働者の女性比率

 

  女性の採用者÷採用者数×100(%)

 

 ②平均継続勤続年数の男女比

 

  女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数

 

 ③月別の平均残業時間

 

  各月の(法定時間外労働+法定休日労働)の総時間数の合計÷労働者数

 

 ④管理職に占める女性比率(女性管理職比率)

  女性の管理職数÷管理職数×100(%)

 

各項目で把握した状況を元に、自社での課題はどこにあるのか、どうしたら改善できるのかを分析します。

 

ステップ2【課題を元に計画を立てる】

先ほどの状況把握と分析の結果、見つかった課題を改善して行くための施策を「行動計画」

としてまとめます。行動計画には、次の内容を必ず盛り込みます。

 

①計画期間 

 

2年から5年が望ましい

 

②数値目標を1つ以上定める

 

女性管理職の女性比率を〇%にする など

 

③取り組み内容

 

目標を達成するために、いつまでにどのような取り組みをするのかを記載します。

目標達成に向けてすべき取り組みをいくつ記載しても構わない。

 

ステップ3【行動計画の公表と届け出をする】

一般事業主行動計画を公表するため、以下の3つの方法があります。

 

①社内の見やすい場所への掲示など社内の誰もが閲覧できる状態にする

 

②社内周知だけでなく外部にも公表する必要があるため、自社のHPへの掲載や厚生労働省の「女性の活動推進企業データベース」への登録が効果的

 

③「一般事業主行動計画策定・変更届」を管轄の労務局へ提出する

 

女性活躍推進法の希望と課題

総務省の労働力調査等から見ても就労や昇格を希望する女性は未来を担う新たな労働力として期待されており、女性活躍推進法の成立以降、女性就業者の割合は諸外国と比べても大差ない数まで増加しています。

 

女性活躍推進法の主な目的は、女性の多様な働き方の実現と女性が働きやすい社会作りです。女性活躍推進法の取り組みは企業にとっても「労働力の向上」や「企業イメージの向上」など、大きなメリットがあると言えます。

 

多くの女性は家庭を持ち、子どもが生まれても働きたいと考えています。しかしながら

女性が就業生活と家庭生活の両方をこなすのは簡単な事ではありません。女性管理職の数を増やしたり、女性に長く働き続けてもらう為にも企業は勤務制度や人事評価制度の見直しを始め、管理職の業務負担軽減など柔軟な対応をしていく必要があると考えられます。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

女性活躍推進法はこれからの社会に必要な取り組みである事は間違いありません。現状では企業や個人への負担が大きいのがこれからの大きな課題でありますが、長い目で見ると女性活躍推進法に取り組んでいないことがデメリットになることがあると考えられます。企業としても女性の社会での在り方や未来を考えていないことがマイナスイメージにつながることも多く、将来的に多くの人に支持される企業であり続けるためには、女性活躍推進法を実施することが必要不可欠です。

 

女性活躍推進法についての具体的な進め方が分からない場合は、ライフサポートサービスまでご相談ください。

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