テレビやネット広告で「健康」というキーワードをよく目にするようになりました。コロナの影響で在宅ワークが増え、体重増加が気になる、健康的な生活を目指したい、健康を維持したいと願う人は多いと思います。
健康管理の為には何から始めたら良いのか、具体的にどんなことをすればよいのか管理栄養士が解説します。
健康でいることは企業にも家族にもメリットが大きい
健康管理はなぜ必要なのでしょうか?
それは、病気になることで生活にさまざまな支障をきたし、健康管理をしておけばよかったと後悔してしまうからです。健康管理をしないことで病気になるリスクが高まってしまうこともあるでしょう。
病気になっても人の価値は下がりません。しかし、病気によって失われる物があるのも事実です。
医療費
健康を害すると、まずお金がかかります。例えば糖尿病の治療で受診やお薬などの料金を負担した場合、1年間で約10万円近く費用がかかる事が予想されます。本人は社会保険を利用して3割負担で受診が可能ですが、その他の7割は国民や企業、自治体から集めた保険料から支払われる為、結果的に国の医療費が上がってしまいます。
日頃の生活習慣を少しずつ見直して行くだけで、医療費が大幅に軽減できる可能性が生まれます。
家族や友人と過ごす自由な時間
生活習慣病にかかると、定期的に医師の診察を受けたり、調剤薬局で薬を処方されます。
毎月必ず通わないといけないケースが多いため、平日に仕事をしている方は有給をとったり土曜日に受診したりと、貴重な時間が奪われてしまいます。
糖尿病が悪化すれば腎臓がダメージを受け、最終的に透析になる可能性もあるでしょう。本当なら自由に使えるはずの治療この時間を使って健康管理をすれば、家族の時間や是非自分の趣味の時間に当てる事ができます。
健康管理に欠かせない3つのポイント
ここからは健康管理をする上で重要な「運動」「睡眠」「栄養」についてご紹介し、具体的なやり方を見ていきましょう。
健康管理の為にオススメしたい運動
運動は健康的な生活を作る為の体力の向上、維持に欠かせません。しかし、自分の体力や好みに合っていない運動を選んでしまうと怪我をしたり、1回で挫折してしまう原因になります。短期的な目標ではなく、大きくなった子どもたちと旅行を楽しみたいなど、5年後、10年後の生活を意識して、長期的な運動のイメージを持ってみましょう。
運動には次のような健康効果があります。
・有酸素運動
ランニングや水泳などの有酸素運動は血圧が上がりにくく、比較的安全に実施する事がで きる上に肺や心臓の機能が高まります。代謝が良くなるので中性脂肪の数値の改善や糖尿病、高血圧、高脂血症の予防効果も期待できる上、体力や持久力がつきます。
散歩をする場合は小股で歩くのではなく、腰から足が出るような意識の大股で歩くと運動によるカロリー消費が上がります。
・ストレッチ
ストレッチにより、筋肉の柔軟性を高める事が出来ます。柔軟性が高まる事で怪我の予防に繋がり、運動後の疲労回復に効果があります。血行が良くなる事で肩こりや腰痛の予防にもなります。
正しいストレッチの方法
①時間は20~30秒を目安にする
②ストレッチする部位を意識する
③反動をつけず、気持ち良い程度に伸ばす(痛くない程度)
④呼吸を止めないよう意識する
また、運動には自分が目指す体格に近づく事によって自己効力感が高まる効果もあります。仕事の気分転換にもなり、ストレス発散や精神的な安定にも効果があります。
ぜひ身体を動かす事を楽しんでほしいと思います。
運動する時間がとれない方にオススメなのが、NEAT(ニート)を上げる方法です。
【NEATとは】
私達の身体活動は、スポーツなどの「運動」と家事や歩行などの「生活活動」に分けられます。スポーツをする習慣が無い人は健康管理が出来ないかと言うと、そうではありません。後者の「生活活動」で消費されるエネルギー量(NEAT=日本語で非運動性熱産生)を増やす事で活動量を多くする事ができます。
◎NEATを増やす例
・電車やバスでは立つようにする
・家事の時間を増やし、ソファーに座る時間を減らす
・洗濯物を干す時に腕を大きく動かしてみる
・子どもと公園へ行く時間を増やす など
仕事で運動時間が取れない方は、通勤時間を利用して早歩きをしてみる、階段を1段飛ばしで上るなど、工夫できる事は多いですよ。
良い睡眠がもたらす効果と睡眠の質を高める方法
睡眠には大きな2つの役割があります。1つ目は脳や身体を休ませる事です。睡眠は記憶を定着させるほか、悪い記憶を消去してくれる働きもあるため、心の健康にも繋がります。
2つ目は睡眠中に成長ホルモンが分泌される事により、筋肉や骨の強化を強くする効果や脂肪を分解する効果など、アンチエイジングやダイエットに繋がる有効な働きをしています。
睡眠不足は仕事の効率が悪くなり、過食の原因にもなるため糖尿病の原因にもなります。
忙しいビジネスパーソンでも取り入れられる睡眠の質を高める方法をお伝えします。
①夜眠くなる仕組み
朝起きてカーテンを開け、日の光を浴びてみて下さい。朝日を浴びるとセロトニンという幸せを感じるホルモンが脳内に放出され、気分良く目覚める事ができます。また、セロトニンが出てから約14時間後に入眠ホルモンのメラトニンが分泌され、脳をリラックスさせる効果があります。
夜は寝る前に照明を暗くする、寝る直前までスマホは見ないようにするなど、良い眠りを妨げない生活を心がけましょう。
②良い睡眠と食事の関係
寝る直前の飲酒は夜中に目が覚める回数を増やしてしまい、睡眠の質が下がります。ま た、コーヒーなどに含まれるカフェインは飲んでから30分~1時間で血中濃度がピークに達して眠れなくなる事があります。カフェインをとる場合は、睡眠時間の4時間前までに済ませましょう。
セロトニンとメラトニンの原料はタンパク質に含まれるトリプトファンという栄養素で、人の体内で作る事ができません。良い眠りの為に、トリプトファンが多く含まれる食品を 意識して摂りましょう。
【トリプトファンが多く含まれる食品】
・赤身の肉や魚 レバー、まぐろ、カツオなど
・大豆製品 豆乳、納豆、油あげなど
・卵
③朝起きる時間を一定に
①で書いたように、朝起きる時間が遅くなると入眠時間も遅くなる為、休日でも朝寝坊をしない方が睡眠のリズムが整います。起きる時間は毎日一定にしましょう。昼に眠気が出て来たら15分でも目を閉じて音を遮断して休みましょう。
生活リズムを整えることを意識して起床時間にも気をつけることが大切です。
人間関係のストレスやメンタルヘルスも、健康管理の課題になります。
こころの健康についてはこちらを参考にして下さい。
参考:厚生労働省 休養・こころの健康
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html
食事で健康管理をする為の重要なポイント
健康管理において、毎日の食事はとても重要です。ここでは健康管理をする上で食生活で
気をつけると効果の高い重要ポイントについてお伝えします。
①食べる量を適正に
食べ過ぎは肥満の原因になるだけでなく、代謝が落ちる事によって生活習慣病のリスクが上がります。一度に大量に食べ過ぎると胃の本来の機能で対応できない為、胃もたれを引き起こします。食事は良く噛んで味わいましょう。
良く噛む事によって消化吸収の機能を高めてくれます。脳から様々な指令が出され、消化吸収に関わる臓器機能を果たす為の準備をスタートしてくれます。食事を見て、匂いを嗅いで、「美味しそう」と思える余裕を持つ事も大切です。
また、スマホアプリなどを使って日頃の食事量を記録・管理するのもおすすめです。アプリで記録・管理することで日々のセルフチェックになり、食べ過ぎを防ぐことができます。
②血糖値の上昇を防ぐ食べ方を実践する
血糖値が大きく上がる食材は、炭水化物のご飯やパン、麺類です。これらを食事の最初に食べてしまうと血糖値が急上昇してしまうため、オススメできません。
食事の順番は野菜類や汁物⇒お肉やお魚⇒炭水化物の順に頂きましょう。ブッフェや食べ放題でも、この順番を守りましょう。
③余分な塩分を控える
高血圧の予防には塩分量を下げる事が重要です。とは言え、急に薄味にしてしまうとせっかくの料理が美味しいと感じられなくなってしまいます。まずは、減塩調味料にチェンジしてみましょう。
ラーメンのスープには約3gの塩分が含まれていますので、飲まないようにするだけで大幅に塩分をカットする事が出来ます。味噌汁にはたっぷりの野菜を入れましょう。余分な塩分を身体の外へ出してくれる働きのあるカリウムを摂る事ができます。
④野菜を沢山食べる
ローカロリーで食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な野菜は是非食前に沢山食べるようにしましょう。食前に食べる事で野菜の酵素が消化を助けてくれますので、自分の体内の消化酵素を節約できます。中年になって急に焼肉を食べられる量が減ったなど、加齢によって食事量に変化を感じた方は消化酵素が減少して来たサインかもしれません。
また、先に野菜を食べる事でその後の食事の血糖値が上がりにくくなり、糖尿病の予防にも繋がります。に、カサの多い生野菜サラダを選ぶと満腹感があり暴飲暴食を防いでくれます。1食に両手いっぱいの野菜を食べる事を目標にして欲しいと思います。
⑤大型連休や年末年始の食事
親戚や友人と集まる機会の多い大型連休に、ついつい食べすぎてしまった経験は無いでしょうか?加えてゴロゴロ過ごす事は至福のひと時ですが、気になるのは体重…
食べ過ぎてしまった次の日は、お腹が空く感覚を待ってから胃に負担をかけないように温野菜や消化の良いタンパク質(魚や卵)を良く噛んで食べるようにします。炭水化物は無理に食べようとせず、いつもの半分位の量を摂るようにして、胃腸を回復させましょう。
まとめ
いかがでしたか?
「運動」「睡眠(休養)」「栄養」は健康管理の上でも最も重要ですが、便利になった現代社会では健康管理は簡単ではないかもしれません。
しかし、健康を保つ事、向上させる事は自分や自分の大切な人の人生を豊かな物にしてくれます。40代、50代、60代と歳を重ねても健康的なライフスタイルを送れるよう、今回ご紹介した方法をストレスの無い範囲で継続してみて下さいね。