ダイエットの為に健康的な食事をはじめたい、生活習慣病を予防する為に医師から食事
の見直しを提案されたなど、「食生活を変えたい」と思った事はありませんか?
でも、カロリーや栄養の計算は難しいし、数字を見るのが苦手な方もいらっしゃると思います。そこで、簡単にイラストを見て食事のバランスが整う方法を管理栄養士がお伝えします。
使ってみよう!食事バランスガイド
皆さんは、食事バランスガイドを見たり利用した事はありますか?健康的な食事にしたいと考えていても、なかなか実行に移せないものですよね。
そんな時はイラストで理解しやすい食事バランスガイドを利用してみましょう!
食事バランスガイドの基本
2005年6月に厚生労働省と農林水産省の共同で「食事バランスガイド」が策定されました。
食事バランスガイドはコマの形をしており、1日に「何」を「どれだけ」食べれば良いかが料理イラストを用いてわかりやすく示されています。
栄養素についての考え方は「5大栄養素」や小学校で習う「3色食品群」が一般的ですが、1つずつ内容を覚えるのは大変です。
5大栄養素
・炭水化物
・脂質
・タンパク質
・ミネラル
・ビタミン
3色食品群
・赤 体を作るもとになる (肉、卵、魚、大豆製品、乳製品など)
・黄 エネルギーのもとになる (米、パン、麺、芋類、油、砂糖など)
・緑 体の調子を整えるもとになる (野菜、果物、きのこ類など)
その点、食事バランスガイドは「何」を「どれだけ」食べれば偏りのない栄養バランスになるのかが「料理の組み合わせ」で理解できる為、栄養素を知らなくても料理で選ぶ事で簡単に活用する事ができます。
食事バランスガイド イラストの使い方
食事バランスガイドはコマの形をしており、食材ではなく料理で示されています。
「何を」「どれだけ」食べたら良いかが料理名で示されており、食事バランスが悪くなるとコマが倒れてしまう事を表現しています。
①「何を」食べる?
このコマの中には5つの料理グループが描かれており、コマの上から見て
行くと1日に食べる目安の多い順から
「主食」ごはん、パン、麺
「副菜」野菜やきのこ、海藻のおかず
「主菜」肉や魚、大豆製品のおかず
「牛乳・乳製品」「果物」
という5つの料理区分に分けられています。
②「どのように」食べる?
料理を標準的な量であるSV(サービング)という単位で計算し、
1つ、2つという数え方をします。
上についている軸の水色の部分は水(水分)を表しており、水やお茶などの水分も生きて行く上で欠かす事ができない事からコマの軸として描かれています。
コマの上には走る人が描かれています。コマが動いて回転するためには運動が必要になりますので、栄養と運動のバランスの大切さも込められたイラストになっています。
このような説明では、お菓子や嗜好品はダメなの!?と感じてしまいますが、お菓子や嗜好品は「食生活の中の楽しみ」と考えて、適度の摂取が望ましいです。
そのため、コマ(日常)をうまく回す材料として、ヒモとして記されています。
③性別や身体活動レベルでSV数が変わる
体の大きさや1日の活動量は人によってバラバラですので、基準となるエネルギー数とは別に身体活動レベルが高い人はSVを増やしたり、その逆に減らしたりしながら調節する事が可能です。
④「1つ」の基準となる料理例と目安量
食事バランスガイドの基準となるエネルギー必要量の基本は1日2000~2400kcalで設定されています。
これは成人(高齢者を除く、身体活動レベルが普通以上の女性もしくは身体活動レベルが低い男性)に適応され、デスクワークなどで身体活動が多くない方に適しています。
肉体労働が多い方や活発な運動習慣を持っている方の身体活動レベルは「高い」分類に
なり、必要なSV数も増えます
実際に使ってみましょう♪
では実際に、コマの中のイラストを使って1日の目安量を選んでいきましょう。
【主食】
コマの一番上の主食グループから、ごはん、パン、麺、パスタなどの料理を選んで行きます。
【身体活動量 普通 5~7つ】
【身体活動量 高い 6~8つ】
1つ(SV)の基準は穀物に由来する炭水化物40gで計算されています(食べ物の量ではなく、そこに含まれる炭水化物の量です)
1SV=ごはん小盛り1杯程度、おにぎり1個、食パン1枚分程度ですので、身体活動が普通の人は1日におにぎりを5~7個食べると考えて、一食分におにぎりをだいたい2つ位食べるんだという事が食事バランスガイドからわかります。
身体活動量が高い方は、1日のうちにそこから更におにぎりの量を1~2つ分プラスしていきましょう。
その他の炭水化物を用いる場合はご飯中盛りで1.5SV、うどん1杯盛りそば1杯スパゲッティ1人前で2SVになります。
【副菜】
コマの上から2番目は体の調子を整える野菜やキノコ、海藻から食物繊維やビタミン、ミネラルを補給します。
【身体活動量 普通 5~6つ】
【身体活動量 高い 6~7つ】
副菜の場合、1SVで70g程度の食材量を表すので、小鉢1つ分の野菜や海藻がイメージしやすいです。
写真のような野菜たっぷりのお味噌汁も1SVに含まれます。お味噌は安いですので、旬の野菜を使う事で経済的に野菜を食べる事ができます。
1SV=野菜サラダ、酢の物、ほうれん草のおひたし、煮豆、キノコソテーなどを選ぶ事ができます。2SVの場合、その倍の量の野菜を使っての野菜炒めや野菜の煮物が必要です。
体重管理や生活習慣病予防にも食物繊維は欠かせない物ですので、最低でも1日に5SVは選んで食べて行きたいですね。
SVで考えるのが難しい場合は、「1日3回野菜を食べる」を目標にしてみましょう。
ミニトマトを添える、キャベツやレタスをちぎる、冷凍野菜を使うなど、継続しやすい事からスタートしてみましょう。
【主菜】
コマの上から3番目は肉、魚、卵、大豆製品から筋肉や血を作るタンパク質を補給できます。
【身体活動量 普通 3~5つ】
【身体活動量 高い 4~6つ】
主菜の場合、1SVで6g程度のタンパク質量を表します。
1SVは小鉢で頼む納豆や冷ややっこ、卵1個分
2SVは焼き魚やお刺身1人前
3SVは肉料理1人前と覚えましょう
【牛乳・乳製品】
コマの上から4番目は牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品からカルシウムを補います。
【身体活動量 普通 2つ】
【身体活動量 高い 2~3つ】
乳製品の場合、1SVで牛乳・乳製品に由来するカルシウムが約100mgとれます。
1SV=牛乳コップ半分、スライスチーズ1枚、ヨーグルト1パック。2SVは、およそその倍量となります。朝食やおやつなどで調節して取り入れましょう。
【果物】
コマの最後は果物からビタミン類やカリウムを補います。
【身体活動量 普通 2つ】
【身体活動量 高い 2~3つ】
1SVの基準はみかんなどの小さい果物1個で1つ分です。りんご1つなどの大きい果物は半分で1SV、1個で2SVと計算します。
【応用編】
1皿に主食・副菜・主菜が盛られた料理はどのように数えると良いのでしょうか?
例)カレーライスの場合
ごはん→大盛り1杯位なので主食2SV
肉 →普通の肉料理の1.5人分くらいなので主菜2SV
野菜 →小鉢2つ分程度なので副菜2SV
このように考える事ができます。
では、こちらの豚の生姜焼きはどうでしょうか?
肉 →肉料理1人前で3SV
野菜 →小鉢の野菜で1SV
と計算できます。
出張時の栄養バランスの整え方
家庭を離れる機会の多いお父さんでも、この食事バランスガイドを用いて栄養バランス
を整える事が出来ます。
まずはコンビニ食で自分の夕飯を選ぶ時のポイントですが、標準のコマの場合、
最低でも揃えて頂きたいのは主食、主菜、副菜です。
主食=2SV程度必要になりますので、おにぎり2個やうどん1杯、そば1杯などが
選択できます。
副菜=小さな小鉢のお惣菜から2つ選んで頂き、2SVを目指しましょう。
ひじきの煮物、野菜のお浸し、きゅうりとワカメの酢の物、ポテトサラダ、野菜サラダ
などから2つ選ぶ事が出来ます。大盛の野菜炒めなどで2SVとる事も可能です。
主菜=タンパク源を選びます。1~2SVを目安に選んで頂きたいので、茹で卵、納豆、焼き魚のパックやフライドチキンなどから2つ程度選ぶ事ができます。
ファミリーレストランで食事を摂る場合は魚の定食が理想的です。
野菜が少ないと感じる場合は、納豆やお浸しを追加で注文しましょう。
次の日の朝食にヨーグルトやチーズ、果物をプラスできると食事バランスガイドの栄養
バランスが自然と整ってきます。1日で栄養バランスを整えるのは難しいですので、3~4日間を目安に栄養バランスを整えていけば大丈夫です。
食事バランスガイドを活用して健康的な生活をスタートしましょう
いかがでしたか?
食事バランスガイドは栄養の知識が無くても簡単に栄養バランスを
整える事ができます。まずは主食・副菜・主菜を揃える所から始めてみましょう。