健康診断で再検査と言われたらどうする?正しい行動はこれ

診断表と再検査の文字

毎年の健康診断の結果は気になりますよね。昨年までは異常は無かったのに、再検査と言われた時に不安にならない人の方が少ないのではないでしょうか。

 

しかし、定期健康診断で異常の所見があった人の割合は年々上昇しており、それほど珍しい事ではありません。2020年の調査では約6割近くの人が有所見の判定を受けているそうです。ただし、再検査の通知を放っておくともっと重大な病気に繋がりかねません。

 

自分の健康を守る為に、そして再検査の通知が届いてから適切な対応ができるよう健康管理のポイントを管理栄養士が解説します。

 

健康診断とは

そもそも、健康診断とは何のために行うのでしょうか?

 

それは、生活習慣病をはじめとする様々な病気の早期発見、早期治療はもちろん、病気そのものを予防する事を目的として行われます。健康診断はよく健診と呼ばれますが、自覚症状の無い病気を早期発見できる可能性が高くなります。健康診断の実施は会社の義務であると同時に、従業員にとっても受診の義務があります。

 

健康診断と人間ドックの違い

健康診断と人間ドックは混同しやすいものですが、内容は異なります。

 

健康診断

会社は「労働安全衛生法」に基づいて健康診断の実施が義務づけられており、労働者の健康状態の把握を目的に健康診断が行われます。(パートタイム労働者も対象になる場合がある)検査項目は10~15項目と少なく、検査結果は書類が後日送付されます。

 

人間ドック

人間ドックは病気の予防や早期発見を目的とし、全身を対象に行われる検査です。入院をして数日間かけて行われるのが一般的でしたが、最近では日帰りや1泊の人間ドックが主流となっています。

 

検査項目が50項目以上と多い事が特徴です。人間ドックは健康診断と違い任意の検査ですので、費用は4~10万円と高額になります。医師から直接検査結果の説明を受ける事ができます。

 

診断結果の見方

健診結果の判定基準は日本人間ドック学会の判定基準で判定を設けている場合や、各種学会の定める数値を導入しているなど、医療機関によっても様々です。

 

健康診断の項目

従業員は1年に1回健康診断を受ける事が義務づけられています。会社が実施する定期健康診断の費用は会社が負担し、受診者の費用の負担はありません。(自分でオプションを付ける場合を除く)

 

1.既往歴、業務歴の調査

2.自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査

3.身長、体重、視力、腹囲、聴力(1000,4000Hz)の検査

4.胸部x線検査及び喀痰検査(省略可)

5.血圧測定

6.貧血検査(Hb,RBC)

7.肝機能検査(GOT,GPT,γ‐GPT)

8.血中脂質検査(TG,HDL‐cho,LDL‐cho)

9.血糖検査

10.尿検査(糖、蛋白)

11,心電図検査(安静時)

 

その他にも、職種によって特別に設けられている健康診断があります。

 

〇特定業務従事者健康診断

深夜の仕事や抗内労働等の特定業務に従事する労働者には6ヶ月ごとに1回定期的に健康診断を行う事が義務づけられている

 

〇海外労働者健康診断

6ヶ月以上海外に派遣される労働者については、その派遣前および帰国後に事業者による健康診断が義務づけられている

 

〇結核健康診断

一般健康診断での結核のおそれがあると判断された労働者に対しては6ヶ月後に健康診断を行わなければならない

 

〇給食従業者の検便

食道または炊事場での給食業務に従事する者の雇い入れ時、当該業務への配置替えの際に検便を実施する

 

健診結果の判定区分

健康診断の結果は、検査項目ごとにA~Eの判定区分に分けられます。

 

A 異常は認められない

B 軽度の異常が認められるが、日常生活に支障はない

C 日常生活に注意し生活改善を行う。症状があれば受診をする

D 精密検査、治療が必要

E 治療を継続する

 

判定区分について解説すると、Aは所見なし、Bは基準値をわずかに超えているが再検査の必要はない状態を指しています。Cは再検査が必要な状態であり、医療機関によってはC12:年に1回の健診で経過観察 やC3:3ヶ月後に再検査 など、細かく区分されている事があります。

 

再検査になった時の流れ

健康診断の再検査の案内が来たけれど、いつまでに受けるのか、受けないとどうなるのか、どこで受ければいいなど疑問に思う事にお答えします。

 

再検査、精密検査の意味

私達は毎日完璧に食事の量や時間、睡眠時間を決めて生活しているわけではありません。そのため前日の生活や食事、当日の体調などによって異常が見つかったとしてもすぐに病気とは言い切れないでしょう。

 

その時たまたま数値が悪かっただけなのか、病気が隠れているのかをもう一度検査するために、再検査や精密検査があるのです。

 

再検査

再検査は健康診断の数値が異常だった時に、それが一時的な変動だったのかをもう一度検査して確認する為に行われます。基本的には健康診断と同じ検査が行われ、異常がなければ「一時的な変動であった」とみなされます。

 

精密検査

精密検査は検査で見つかった異常がどんな病気によるものなのか、治療を必要とするのかを確認するためのより詳しい検査です。MRIやCTなど、精密な医療機器を使用する事もあります。

 

要治療

要治療とは、明らかに治療が必要な場合の判定です。

 

いつまでに受けるの?

健康診断の再検査や精密検査の受診時期は健康診断の結果報告書の所見欄などに記載されています。再検査の時期は3ヶ月後または6ヶ月後に受診を設定している医療機関が多いようです。病気かどうかを判断する大切な検査ですので、先延ばしにせずに速やかに受診しましょう。

 

病気が見つかったとしても、早期発見であればあるほど身体への負担も経済的な負担も少なくなります。

 

場所や費用は?

再検査の費用や場所は、ケースによってさまざまなものがあります。

 

費用

通常の健康診断には保健は適用されませんが、再検査や精密検査の場合は保険が適応されます

 

再検査になった場合の費用は基本的に受診者が負担しますが、福利厚生の一環として再検査や精密検査にかかる費用も会社負担になる場合があります。再検査の通知を受けた場合は職場に問い合わせてみましょう。

 

また、二次健康診断と健康指導を無料で受けられる「二次健康診断等給付」という制度もあります。こちらについては対象者が定められていますので、詳しくはお住まいの都道府県の労働局へお問い合わせ下さい。

 

総合病院や大学病院などで再検査を受ける場合は健康診断を受けた医療機関からの紹介状が必要になります。また、紹介状の発行手数料や検査の必要に応じて画像データの発行手数料などがかかるため、負担額が増えるでしょう。

 

受ける場所や診療科

主に次の3つの場所で受診する事が可能です。

 

①健康診断を受けた医療施設

健康診断を受けた医療機関では検査データやカルテがあるため再検査や精密検査などの

二次検査がスムーズに行えます。また、初診料や紹介状の費用もかからないメリットが

あります。

 

②かかりつけ医

かかりつけ医が再検査に対応していれば紹介状は不要で、健康診断の結果を持参する事で再検査を受ける事が可能です。かかりつけ医ではなく近くのクリニックで再検査を希望する場合は初診料が発生しますが紹介状は不要です。再検査の結果を持参しましょう。

 

③総合病院や大学病院

総合病院や大学病院といった規模の大きな病院で再検査を受ける場合は健康診断を受けた医療機関からの紹介状が必要となります。先ほども書いた通り、紹介状無しで大学病院にかかると、診察料の他に初診料などが発生しますので、自身の負担が大きくなります。

 

健康診断の再検査や精密検査を受ける事になった場合はCTやMRIなどの専門的は機械を使用したり、内視鏡検査などの時間のかかる検査になる場合がありますので、事前に受診を希望する医療機関へ問い合わせをしておくと安心です。

 

かかる診療科の目安をまとめましたので、参考にして下さい。

 

【血圧】

内科、循環器内科

 

【血糖】

内科、糖尿病内科

 

【脂質】

内科、消化器内科

 

【貧血】

内科、血液内科

 

【肝機能】

内科、消化器内科

 

【尿検査】

内科、腎臓内科、糖尿病内科

 

【胸部x線検査】

内科、呼吸器内科

 

【心電図検査】

循環器内科

 

再検査を受けないとどうなるの?

健康診断の実施は会社の義務であり、従業員にとっても受診する義務があります。一方で再検査や精密検査の受診は任意であり、結果を会社に報告する義務はありません。

 

しかし、厚生労働省による指針では「会社は再検査の受診勧奨とともに、二次健康診断の結果を事業者(会社)に提出するよう働きかけることが適当である」とされており、会社から受診の有無を聞かれたり結果の提出を求められる可能性があります。

 

従業員の体調管理や労働環境の整備を行う事も会社の役割ですので、健康診断や再検査の結果は大切な判断材料になります。再検査の結果の提出を求められた場合は、必ず提出するようにしましょう。

 

再検査までに気をつけたい食事

普段から健康管理に気をつける事で再検査の判定が出てしまうリスクを防ぐ事ができますが、忙しくて食生活や睡眠に気を配る事が難しい場合もありますよね。

 

再検査までの時間は、自分の身体と向き合って健康管理に務めてみましょう。ここからは再検査までに気をつけたい食事のポイントについてまとめます。

 

生活習慣病を予防する食習慣

〇血糖値が高い場合

血糖値の上がりやすい白い食べ物(白米、餅、うどん、パンなど)はできるだけ控え、精製されていない茶色い主食を選ぶようにしましょう。(玄米、雑穀米、ライ麦パン、そばなど)

食事は最初に野菜から食べる事で食物繊維が血糖値の急上昇を防ぐ働きをしてくれます。

食事と食事の間隔を空けずに、1日3食を規則正しい時間にとるよう心がけましょう。

 

〇血圧が高い場合

高血圧の引き金になるのは食塩のとりすぎです。味噌汁は具だくさんにして汁を少なくする、ラーメンやうどんのスープは飲み干さないなど、塩分を摂りすぎないよう工夫しましょう。また、体内のナトリウムを外に出す役割をするカリウムは生野菜や果物に多く含まれていますので、意識して摂るようにします。

 

〇中性脂肪が高い場合

脂肪の多い肉や丼などで炭水化物を摂りすぎると、中性脂肪が肝臓で大量に合成されて皮下脂肪として蓄えられます。その蓄積が多くなると肥満や脂肪肝、動脈硬化の原因になります。食物繊維の多い海藻やイモ類、大豆を食べる頻度を上げ、血中の中性脂肪を減らす働きがある青魚を食べるようにしましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

健康診断の検査値に異常が見つかっても、自覚症状が無い場合には再検査を受けるのが億劫に感じてしまうかもしれません。しかし、放っておくと自覚症状が出た時にはすでに病気が進行していたという事態を起こすことも。

自分の体を気遣い管理できるのは自分自身です。

 

再検査の案内が届いたら、早めの受診を心がけ、健康状態を把握しましょう。早期発見で防げるはずの病気を見逃さない事は会社にも家庭にも大きなメリットがあります。

 

社員の健康管理についてのご要望は、ライフサポートサービス株式会社までお問い合わせ下さい。

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執筆者プロフィール~日比野 真里奈~
管理栄養士/健康運動指導士

生活習慣病になる人を減らしたいという思いから管理栄養士を目指す。
病院や高齢者福祉施設で栄養指導や栄養ケアマネジメントの経験を積み、現在は離乳食、食育、
生活習慣病予防、女性の健康の分野で食事から健康をサポートする仕事に従事している。2児の母。