ふとしたことで「イライラ」してしまう、そんな経験がある人も多いことでしょう。むしろ、全くイライラせず、ずっとにこやかに過ごせています、という方の方が、恐らく稀なはずです。
イライラが溜まってくると、どうしても言葉がきつくなってしまったり、周囲に当たってしまったり、そしてそういった言動に出た自分を責めたりと、負のスパイラルに陥ってしまいます。
不可避とは言え、できるだけ緩和させたいこのイライラ状態。今回は、イライラを少しでも解消・緩和させる実用的なライフハックをお伝えしていきます。
なぜ些細なことでイライラしてしまうの?
そもそも、なぜ少しのことでイライラしてしまうのでしょうか。ひょっとすると、あなたの同僚は同じことが身に降りかかってもイライラしないかも知れません。
逆に、あなたの同僚がイライラしている事象は、あなたのイライラスイッチを刺激しない可能性だって当然あります。
誰だって、イライラすることはあります。ただ、イライラしている状態が続きやすいのであれば、それは心のSOSかも知れません。
ストレスはイライラの元
想像してみてください。あなたは両手に2Lのペットボトルを2本ずつ、ビニール袋に入れて持って歩いています。計4本ですから、合計8キロ、とても重いですよね。
ただでさえ負荷がかかっているのに、この状況で雨が降ってきました。この状況下では先ほどよりも負荷がかかっていると感じることでしょう。
この場合「雨」は「追加のストレス要因」となります。ストレスとは、心身に過剰な負荷がかかり、心身がゆがんでいる状態を指します。
なぜわざわざ「追加の」と付けて説明をしたかというと、我々の日常は既にストレス状態でスタートしていると言って過言ではないからです。
毎日通勤して、タイトなスーツや靴、暑すぎる夏や寒すぎる冬といった「日常」に、さらなるストレス因子が「追加」されることが私たちの日常となっているためです。
「普段ストレスは感じない」という方でも、すでに私たちの日常はストレス因子に溢れています。この積み重なりが無意識のうちにあなたを攻撃し、イライラの原因となってしまいます。
では、あなたの現在の「イライラ度」を少しチェックしてみましょう。
イライラ寸前?簡易ストレスチェックをしてみよう!
以下の状態があなたに現れていないか、簡単にセルフチェックをしてみましょう。
- やる気が起こらない
- 人と会うのが億劫
- いつも楽しかったことが楽しく感じない
- 倦怠感がある
- 集中力が続かないor集中できない
- 食事の味付けが濃くなった
- めまい・耳鳴り・立ち眩みがある
- 寝つきが悪い
こちらの状態に3つ以上当てはまるのであれば、ストレス状態や忙しさで心の余裕が出ていない可能性があります。
※より詳しいストレスチェックはこちらの記事をご覧ください。
「ストレスチェックとは? 制度やチェックリストを紹介します」https://www.lifesupport-service.com/blog/20230317/
ストレスを抱え込むと、心のみならず身体の健康状態へも影響を与えますので、定期的に自分の状態を知るようにしましょう。
残念ながら職場はストレスがいっぱい…
職場はストレスがいっぱいだなんて「こんなこと言われなくても知っている…」と思われそうですが、ここで職場とストレスの現状を具体的な数字で確認してみましょう。
厚生労働省における発表「令和4年版 労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関する強い不安やストレスを抱えている人の割合はなんと82.2%と「ほぼ皆」と言えてしまう調査結果となっています。
令和3年版の同調査調では53.3%ですので、不安や職場環境のストレスが著しく増加傾向にあると捉えざるを得ません。
参考:厚生労働省「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r04-46-50_gaikyo.pdf
要するに、職場はストレスの宝庫=イライラの元。とは言え、そう簡単に仕事を辞めるわけにいかないので、いかにストレスと上手に付き合っていくかがイライラ解消のコツとなるのです。
ただ、不思議なことに、あなたの周りに「いつも穏やかな人」って思い当たりませんでしょうか。少しのことでイライラしてしまう人と対照的に、どんな苦境でもにこやかでいられる人。観音菩薩のようなこの方は、なぜイライラしないのでしょうか。
なぜイライラしないでいられるの?
イライラせずに温厚な人が、本当にイライラしていないのかどうかは正直、当人にしかわからないものです。もしも、本当はイライラしているけれどもぐっと我慢をし続けているのであれば、それはそれでいずれ爆発してしまう危険性を秘めています。
ただ、些細なことでイライラしやすい人と、イライラ事案の許容範囲が広い人との違いは確かにあります。それは、物事の捉え方が違うことです。
一般的に、イライラしやすい人の性格は完璧主義の傾向にあり、また真面目で几帳面であると言われています。「〇〇は□□でなければならない」と思う傾向が強いと指摘されており、対してイライラしにくい人はこの「〜なければならない」という範囲が広いのが大きな違いです。
「〜でなければならない」という考え方は、必ずしもネガティブなものではありません。ましてや完璧主義や真面目というのは、社会的に信頼を得る大きな長所です。
ですので、そこを「崩す」必要はないのですが、その性格故にイライラして周囲に当たってしまうのであれば、改善が必要にはなるでしょう。
改善の方法についてネットのまとめ記事などでは「人を頼る」とか「自分を褒める」とか列挙されていますが、なぜ「~でなければならない」志向になるのかを理解して改善プログラムを組まなければ的外れになってしまいます。
まずはご自身の口癖で「〜でなければならない」と多用していないかを客観的に確認してみましょう。その傾向が確認でき、普段からイライラしやすいのであれば、専門医やカウンセラーに相談をしてみるのが根本からの改善策であり改善への近道だと言えるでしょう。
職場で簡単!さまざまなイライラ解消法
専門医やカウンセラーの診断を受ける程でもないけれども、日々のイライラを即効で解消したい!という方も多いことでしょう。
そこで、ここからは職場でできるさまざまなイライラ解消法をお伝えしていきます。
グッズを利用する、飲み物を工夫するなどさまざまな方法を紹介していますので、できそうな気分転換から取り入れてみてください。
深呼吸
長時間のデスクワークや、同じ姿勢で仕事をすることが多い方は、定期的に深呼吸を取り入れてみましょう。イライラの解消とともに肩こりや眼精疲労といった慢性化しやすい疲れの予防にも効果が期待できます。
深呼吸は、副交感神経を優位にさせてリラックスした状態に変化させます。正しい深呼吸は「吐く」ことを第一とし、次に新しい酸素を体内に取り入れると考えてください。
では実践です。
口をすぼめて今体内にある酸素をゆっくりと限界まで吐き出します。
そこで5秒間キープし、次に鼻から酸素を取り込みます。
これを数回繰り返すことで、気分がリフレッシュされイライラ防止になるのです。
合わせてストレッチも行おう!
深呼吸に合わせて背中のストレッチを取り入れるとより効果的です。
背中が張りすぎていると、普段から呼吸が浅く身体に負荷がかかることがあります。そこで、休憩時間やふとしたときに、背中を伸ばすストレッチを取り入れてみましょう。
まず、椅子に座った状態で背中を伸ばし、両手をまっすぐ胸の前で伸ばして指を組みます。その姿勢のままゆっくりと背中を丸め、目線は自分のへそを覗くように首から背中にかけてストレッチしていきましょう。
太陽を浴びる
太陽の光は脳内物質のセロトニンを分泌させます。このセロトニンとは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、ストレスに対して抑制の効果があるとされているのです。
セロトニンは他にも笑うことやウォーキング・ランニングといった運動でも分泌が促進されます。
日頃、太陽の光に極力当たらない生活をしている方や、運動をなかなか行わない方は、日中の5分で良いので太陽の光を浴びてみてください。日焼けが気になる方は手のひらだけでも効果があるとされます。
飲み物でイライラ解消
休憩時間のホッとする時間で、イライラ解消に役立つ飲み物をチョイスしてみましょう。
イライラの抑制に良いとされる代表格は「ココア」です。
ココアはカルシウムやビタミンB1、タンパク質などストレスを緩和する栄養素が多く含まれ、自律神経を整えてくれます。
ココアが苦手な方は爽快感のある炭酸水もおすすめです。炭酸水は血行促進の期待ができ、胃腸の働きを促進して疲労回復へと繋がります。
コンビニでも炭酸水は手に入りますので、簡単にできるイライラ解消法です。
炭酸水を持ち歩けるタンブラーもありますので、レモンやライム、オレンジといったビタミンCが豊富な柑橘系のフルーツを合わせてぜひ「My炭酸」を楽しんでみてください。
ボディミストで気分転換
ボディミストとは、香りが付いた体用の化粧水のことです。天然のアロマ精油が入ったボディミストで、気分の切り替えをしてみましょう。
「香り」のものはなんだか信用ができない、という方もいます。日本ではアロマ精油は「雑貨」として取り扱われているため、どうしてもその使い方が「香り」「美容」だけと捉えられるのですが、フランスでは精油を用いたアロマセラピーは医療行為と認識されます。
アロマは実はしっかりと成分を理解して利用する必要がある、といえば、その信憑性をご理解頂けるのではないでしょうか。
たとえば、アロマの精油で代表的な「ラベンダー」ですが、ただその「良い香り」でリラックス効果を促進するわけではありません。ラベンダーオイルに含まれる「リナロール」というモノテルペンアルコールの1種にリラックス効果があるため、睡眠促進やリラックス効果の高いアロマオイルとされます。
ですので、オフィスでやる気が出なくて気分転換したいからと言って、ラベンダーのボディミストを使ってしまうと、もっと眠くなってしまう可能性があるのです。
天然成分で作られているボディミストや精油を取り扱うお店では、成分を理解している販売員がいる店舗もありますので、自分の好みや身体や心の状態を相談しながら、合うものを選んでみてください。
イライラ解消は自分に優しくする!
イライラしないで毎日を過ごす、なんて正直難しいと思います。ですが、本当に少しのことで気が立ってしまうのであれば、心身ともに負荷がかかりすぎている状態なのでしょう。
まずは自分自身の変化に敏感になってみてください。そして、ストレス状態にあると感じたら、好きなことをしてストレスを発散したり、友達に愚痴を聞いてもらったりと、自分に優しくすることを優先しましょう。
ただし、イライラ解消のためのアルコールやタバコ、暴飲暴食はストレス発散にならないとされます。一時的な満足感は得られても、イライラしやすい状態を解消する方法ではありませんので、あくまでも「健康的」に好きなことをしてください。
また、イライラの根本的な解消には、自分のストレス状態を数値として客観的に捉えることが大切です。同時に、企業としては同僚や部下がストレス状態にあることを察知したなら、放置せずに改善に乗り出せる環境が整っていることが理想的です。
そこで役立つのがストレスチェックです。
企業はストレスチェックを行い、労働者のメンタルヘルスの不調を見逃さないための取り組みを行いましょう。
弊社では、企業様の健康経営を積極的にサポートしています。
健康診断の実施や健康経営についてなどのお悩みは、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
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