健康経営が企業成長の要になると、多くの企業様はもうご理解頂けていることでしょう。しかしながら、どのように具体的なアクションを起こしていけばよいのか、疑問やお悩みをお持ちの担当者様もいるはずです。
そこで今回は「健康宣言」に焦点をあてて、わかりやすく解説していきます。
「健康経営?」とハテナが浮かんだ方は、健康経営の重要性に関してまずはこちらのコラムからご確認ください。
「生産性アップの秘訣「健康経営」とは? 導入目的やメリットを解説します」
https://www.lifesupport-service.com/blog/20220922/
健康宣言とは?
健康宣言とは、企業が内外に向かって従業員やその家族の健康を守る意思表示をすることです。
体の疾患はもちろん、精神的な不調(メンタルヘルス不調)を招かないように、企業全体で病気予防および健康づくりに取り組む姿勢を文章化します。
健康宣言を行うメリット
健康宣言は従業員の健康に対してコミットメントすることで、従業員の士気を高めると同時に企業価値も高めていきます。
健康宣言を行うことによって、企業にはどういったメリットがあるのか、具体的にみていきましょう。
企業ブランドの向上
健康宣言を行うことで、健康経営を推進しているアピールが内外にできます。
健康経営は従業員や従業員の家族を守る上で必須の施策です。いかにして従業員の心身を守るかを宣言するのですから、そのクリーンさは「従業員ファースト」であるアピールができます。
「クリーンさ」は企業にとって良いイメージの定着へと繋がるのは周知のことでしょう。「守られる」安心感から優秀な人材確保へも繋がる可能性が高まります。
健康リテラシーの向上
どれだけ企業側が健康促進していても、従業員一人ひとりの意識変革がなければ健康経営が成功だとは言えません。
「長時間労働は悪!」と上層部が言ったとしても「長時間勤務の方が偉い!」風潮が現場で起こっていては意味がないのです。
こちらをお読みいただいている方のなかにも、「寝ていない」アピールを「できる人」と認識している人に出会ったことがあることでしょう。
睡眠を削って仕事や接待に没頭している姿を「できる人」と認識した上での「寝ていないアピール」ですが、睡眠不足の実態はプレゼンテーティズムの最たるものです。
寝ていないアピールよりも、しっかりと休息をとって集中力が持続している方が「できる人」と周知されていくと、プレゼンテーティズムの是正、生産性の向上へと繋がります。
このように、健康宣言は明確化した健康経営の中身を企業全体で実行していくことで、従業員一人ひとりが健康と向き合い、リテラシーの向上へと繋がります。
リスクマネジメント
長時間労働や業務量の偏り、ハラスメントの横行など、労働環境が劣悪になればなるほど、離職者が発生する可能性が高くなります。
ただでさえ現場からは人手不足の悲痛な声が聞こえてくるなか、今以上の人員離脱はいずれの企業においても避けたいところでしょう。
加えて、これからさらに少子高齢化が進みます。従業員の高齢化とともに健康リスク上昇は避けられません。当然ながら、従業員の医療費負担が増加すれば、企業の負担も大きくなるわけです。
こういった人事的コストの面から考えても、健康宣言を実行に移すことはリスクマネジメントになると言えるでしょう。
インセンティブ制度
健康宣言を行うことで、自治体や銀行からさまざまなインセンティブを受けることが可能です。各都道府県によって設けられているインセンティブは異なりますので、詳しくはこちらからご確認ください。
参考:東京商工会議所HP「健康経営インセンティブ・認定・登録・顕彰制度(全国)」
https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/1503/
健康宣言と健康経営優良法人
経済産業省から「健康経営優良企業」に承認されるには、健康宣言が認定の必須条件となっています。
健康経営優良法人とは?
健康経営優良法人とは、健康経営に取り組む優良企業を評価認定する制度です。2016年に経済産業省と日本健康会議によって制定されました。
健康経営優良法人に認定されることで、金利や保険料の優遇、助成金の受け取り対象、向上事業入札時の加点対象になるなど、さまざまなメリットがあります。
健康経営優良法人は歴史の浅い制度ではありますが、その背景には長い「黒歴史」が存在します。
長時間労働やパワハラ・セクハラといった劣悪な労働環境が長く横行してしまった日本企業。その犠牲となり体調不良やメンタルヘルス不調を訴える労働者が増加をし続けたことを懸念し、「健康的に就業できる環境」を整えるためにこの制度は誕生しました。
健康経営優良法人は「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」から成り立ち、それぞれで認定基準が異なります。
令和4年度は大規模法人部門が2,676法人、中小規模法人部門では14,012法人が「健康優良法人2023」として選定がされていますので、どういった企業が選定されているのかご興味のある方はこちらからご確認ください。
参考:経済産業省「ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度)」
中小企業における健康宣言事業と健康経営優良法人の関係
中小規模法人部門で健康経営優良法人に申請するには、保険者(各地の協会けんぽや健康保険組合)が実施する健康宣言事業に参加が必須となっています。
協会けんぽの支部によって、申請するだけではなく、数か月の健康経営活動を経た後、協会けんぽ支部により健康優良企業としての認定があって初めて中小規模法人部門へと申請ができるといった制度設計もあります。
協会けんぽによって制度設計が異なりますので、中小規模法人部門での申請をお考えの場合は事前確認をしておくことが良いでしょう。
健康宣言のPDCA
健康宣言をもとに課題を成功に導くには「やりっぱなし」では意味がありません。取り組みに改善点があるかまで一貫して確認することで、健康宣言の意味が発揮されます。
健康宣言における【P=Plan(計画) D=Do(実行)C=Check(評価)A=Action(改善)】を基軸に健康経営を発展させていきましょう。
健康宣言のP:現状把握
職場環境の現状把握がスタートラインです。健康経営が失敗する大きな要因に「現場の声からかけ離れている」ということがあげられます。現場ではどのような状況がストレス因子になっているのかを把握しておきましょう。
現状把握には実際に数値化すると見えやすくなります。協会けんぽ東京支部のホームページでは、簡易のチェックシートが公開されています。現状、どこに問題があるのかを確認しましょう。
参考:協会けんぽ東京支部「いざ、健康企業宣言! チェックシートで問題点を洗い出そう – 健康経営で職場が変わる! – 協会けんぽ 健康サポート」https://kenkousupport.kyoukaikenpo.or.jp/businessowner/20221001_1.html
問題点の確認が終わったら、健康宣言内容を決定します。
このときのポイントは「実現できる内容」にすることが大切。たとえば運動不足の解消を訴えるにも「明日から毎日5km走る!」と宣言したところでほとんどの人は実現できません。
現実的に目標達成がなされる内容で健康宣言は決定してください。
また、実際に数値化をすることで具体的な実施が容易になる場合があります。「健康経営戦略マップ」を活用して、目標達成への道筋をたててみると、どこがキーポイントになるのかがわかりやすくなります。
「目標達成に健康経営戦略マップを取り入れよう!作り方のコツや活用方法を解説 」
https://www.lifesupport-service.com/blog/20221223/
健康宣言の例文
健康宣言をするにも、他社がどのような宣言を行っているのか気になるところではないでしょうか。
健康宣言の多くは企業のホームページにて確認をすることができます。
たとえば「免疫力向上」を健康宣言に盛り込んでいる企業や、定期健診受診率を100%にすると宣言している企業、喫煙低下の成果を盛り込んでいる企業などその中身はさまざまです。
協会けんぽの「健康企業宣言Step1 取り組み事例集」にはどのような取り組みが有効か公開されています。自社が持つ問題点と照らし合わせながら、参考にしてみてください。
参考;協会けんぽの「健康企業宣言Step1 取り組み事例集」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/toyama/20130306-4/2017032102/27B0B0B6017642AB846EB88B29FA49E0.pdf
健康宣言のD:健康宣言の公開と取り組みの実施
宣言内容が決定したら、健康宣言を公開し、実際に取り組んでいきます。加入している保険組合などが健康宣言事業を実施している場合は参加を、実施していない場合は自治体の取り組みに参加をします。
先ほども少し取り上げましたが、健康宣言を行うことで各種インセンティブを受け取ることが可能なケースもありますので確認をしておきましょう。
従業員の健康づくりにあたって、コストがかかる場合も否めません。しかしここで出し渋ってしまっては、健康経営失敗へのフラグが立ってしまいます。どのように遂行していけばよいか迷うのであれば、健康経営に関する知識を持った専門家にアドバイスをもらうことも良いでしょう。
健康宣言のC&A:取り組みの評価と改善
健康宣言の内容に取り組み始めたら、かならずフィードバックを行うようにしましょう。
自治体や組合が用意しているレポートやシートで確認をすることも大切ですが、何よりも現場の声を聞くようにしてください。
健康宣言の内容を遂行したことで実際に職場環境が改善されたのか、改善されていないとフィードバックがされた場合、再度問題点の洗い出しが必要となります。
こうして、PDCAを回転させてより良い職場環境を目指すようにしましょう。
健康宣言で組織の活性化!
企業が従業員の健康づくりを後押しすることで、回りまわって企業そのものの健全化へと繋がります。
少子高齢化の深刻化が指摘され、人手不足が進んでいくなか、優秀な人材を長く定着させることは企業の発展の要と言って過言ではありません。
継続可能な健康宣言の取り組みを行っていきましょう。
弊社では、健康経営エキスパートアドバイザーが在籍しています。
御社にとって最適な健康経営のご提案が可能ですので、「どこから健康経営を始めて良いかわからない」とお困りでしたらぜひ弊社へお問合せください。