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⑦肝臓に良い食べ物
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コロナの影響でなかなか外で飲み会をする機会が少ないため、
今年の夏は家でお酒を飲む方も多いと思います。
家飲みは、帰宅時間を気にせず、安心して飲めるところがメリットですが、
コストパフォーマンスが良く、自分の好きなものを好きなだけ飲むことができるため、
飲みすぎてしまい、より酔いやすいと言われています。
今回は、お酒・アルコールによる肝臓の病気と肝臓に良い食べ物について紹介します!
肝臓の働きとは?
肝臓は500以上の化学反応を行う体の中で最も大きな臓器です。
肝臓は胃腸などの消化器官と異なり、全てが細胞でできている臓器です。その重さは体重の約1/50程度あり、成人男性で約1.5㎏、成人女性で約1.3㎏の重さです。肝臓の主な働きを見ていきましょう。
①3大栄養素の代謝と貯蔵
私たちが食べた物は胃や腸を通過する際に消化酵素や蠕動運動によって消化吸収されて血液とともに肝臓へと運ばれます。しかしその段階では栄養素を利用する事ができないため、体内で利用しやすい形に変えて貯蔵されます。この働きを代謝と言い、私たちが生きて行く上で必要なエネルギー源を生み出しています。
そして体にとってエネルギー源となり活動を維持するグリコーゲンは肝臓に蓄えられており、必要な時に送り出される仕組みになっています。
②胆汁を作る
胆汁は肝臓の中で作られ、脂肪を消化するためのリパーゼという酵素の働きを助けをします。また、胆汁には腸の運動を促進して食べ物の流れをスムーズにする働きがあります。
③解毒作用
アルコールや薬、食品添加物といった有害物質を肝臓の酵素によって無毒化します。細菌などの異物も肝臓で処理され、肝臓の機能を保つ事は免疫力の低下も防いでくれるのです。
その他にも、肝臓には全身の13%もの血液が蓄えられており、血液量や濃度の調節も行っています。
●お酒・アルコールによる肝臓の病気の種類
4種類に大きく分けられます。
・脂肪肝
・アルコール性肝線維症
・アルコール性肝炎
・アルコール性肝硬変
全てお酒の飲みすぎで起こる病気ですが、多くの方は脂肪肝の状態から始まります。
これは断酒や節酒とバランスのとれた食生活、運動療法で改善されますが、
脂肪肝から慢性肝炎が起こると線維化が起こります。
線維化は、肝臓が炎症を繰り返すことにより引き起こされる現象です。
さらに炎症を繰り返して線維化が進行すると、肝硬変になります。
肝臓の数値が高いと言われたら
肝臓は重量の1/2を失っても機能が衰えないとされる丈夫な臓器ですが、異常があっても自覚症状がないために「沈黙の臓器」と言われています。
食べ過ぎや飲みすぎで不調を感じやすい胃腸とは対照的に、肝臓は自覚症状が無い為に軽視されがちです。健診などで中性脂肪やコレステロール値などの異常を指摘される人も増加しており、これらの人は脂肪肝の予備軍とも言えます。肝臓の数値が高くても何も症状がないのだからと放置せず、アルコールの過剰摂取や肥満に繋がる食生活を改めないと肝臓は徐々に蝕まれてしまいます。
肝硬変や脂肪肝などの重篤な病気を招かないよう、肝臓の機能を守る食生活にシフトしましょう。
肝臓を守る食事
肝臓を守るには、日々の食事に気を配ることが大切です。
魚に含まれるDHA、EPAを意識してとる
脂肪肝は肝細胞が脂肪でいっぱいになると肝臓の代謝に障害が起こり、次第に肝機能が低下して行く病気です。健康な肝臓に含まれる脂肪(中性脂肪やコレステロール)は約3%程ですが、全肝細胞の30%以上が脂肪化すると脂肪肝と呼ばれます。
悪玉コレステロールや中性脂肪の蓄積を予防する為には、魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸(DHAやEPA)を摂る事が効果的です。DHAはサバ、マグロ、鮭などに多く含まれ、EPAはいわし、サバ、さんま、アジに比較的多く含まれています。
魚の調理が苦手な方は新鮮な刺身を利用するのが便利です。また、スーパーでも塩焼きの魚は手軽に買う事ができますので、週に3回は魚を食べる習慣を作りましょう。
良質なタンパク質を忘れずに
臓の細胞や肝臓内の数百種類にも及ぶ酵素はタンパク質から作られます。そのため、肝臓がなんらかの障害を受けた時に自らの再生をサポートするためには、良質なタンパク質を摂る事が必要です。
人の体の中で作り出す事ができないアミノ酸を必須アミノ酸と言いますが、この必須アミノ酸をより多く含んでいる食品は、卵、乳製品、肉類、魚類、大豆製品などです。特に納豆や厚揚げ、豆腐などの大豆製品は食物繊維やカリウムも豊富に含まれており、中性脂肪の吸収を抑制する効果も期待できます。大豆製品が食卓に並ぶ頻度が少ない方は、副菜として意識して摂るようにすると良いですね。
注意点として、タンパク質を食べる際に塩分の摂りすぎに気を付けましょう。塩分のとりすぎは肝臓にも悪影響を与え、更に濃い味付けの料理は食事量や飲酒量を増やす事にも繋がります。レモンや香辛料、薬味を利用して味付けに変化を加えましょう。
ビタミンとミネラルの重要性
ビタミンは肝臓の働きを助ける手助けをしています。肝機能が低下すると、肝臓のビタミン貯蔵能力が半分~1/3程度に減少し、代謝機能に障害が現れます。そして肝臓の機能の維持に必要なのはミネラルも同じです。ビタミン類は野菜、海藻類、きのこ類、卵、豆類、乳製品に、ミネラルは緑黄色野菜やわかめ、ひじきなどの海藻類やきのこなどに豊富に含まれており、日常的な食事をしていれば不足する可能性は低いですが、野菜やきのこ類、海藻類を食べる習慣の無い方は肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
肝臓を守るお酒との付き合い方
肝臓はアルコールを解毒する働きがありますが、お酒を飲むと肝臓はアルコールが体内から全て無くなるまで分解を続けます。アルコールを処理する時、肝細胞では食べ物の代謝とは異なる働きや変化が起き、ストレスにさらされます。
アルコールの量が多くなる程肝臓のストレスが増し、肝細胞がダメージを受ける事になります。
アルコール性の肝障害のリスクを下げる為には、お酒との付き合い方を見直す必要があります。楽しくお酒を飲む秘訣は飲酒量をコントロールする事です。肝臓に負担のかからないお酒の量は、アルコールに換算して40㎖/日程度です。具体的には日本酒2合、焼酎1杯、ワイン3/5本、ビール大瓶1.5本程度の換算となります。肝臓の検査値であるγ-GTPは特にアルコールの摂取量に過敏に反応しますので、この数値が高い方はアルコールとの付き合い方が重要となります。
肝臓を労わるためにも、お酒はゆっくりペースで楽しみましょう。ゆっくり飲めば飲みすぎを防ぎ、体にも精神にも良い状態でお酒を楽しむ事ができます。
肝臓に良い食べ物
肝臓によいと言われる食べ物を以下にまとめました。
枝豆
お酒のおつまみの定番の枝豆は、良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
また、脂肪を分解するコリンや、無駄な脂肪を燃やすレシチンなども含まれています。
豆腐
枝豆と同じ大豆製品なので、同様に良質なたんぱく質が多く含まれています。
枝豆との違いは、豆腐はたんぱく質の吸収率が大豆製品の中で最も高く(95%)、効率的に栄養分を摂取することができる点です。
また、他の食材と組み合わせることにより、他の栄養素を効率的に吸収するできるところが強みです。
納豆
大豆そのものよりたんぱく質の消化吸収率が高く、ビタミン類も豊富に含まれています。
また、納豆には大豆にはない成分のビタミンB12など肝臓に良い成分も含まれています。
しじみ
2日酔いの時はしじみの味噌汁が良いと聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか?
しじみには、たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
また、しじみには肝臓に優れた効果をもつタウリンという栄養素を豊富に含むという特徴があります。
カキ
肝臓に必要な各種ビタミンやミネラル、アミノ酸やグリコーゲンなどが豊富に含まれています。
また、肝臓の薬として使用されているタウリン等のアミノ酸が豊富なので、
肝臓を強くしたり、解毒作用を強化して悪酔いや2日酔いを防止する効果があります。
かぼちゃ
ビタミンAが豊富で、ビタミンCやEも含まれています。
肝臓病の方はビタミンAが不足するため、積極的に摂ることをおすすめします。
ビタミンCやEには、過酸化脂質の生成を防いだり分解したりするので、
肝臓病や動脈硬化に効果を発揮します。
にんにく
脂質と糖質の消化吸収を調節する働きがあります。
また、にんにくにはアリシンという硫黄化合物が含まれており、
肝臓に蓄積された毒素を体外に排出する働きがあります。
梅干し
クエン酸等の有機酸が多く含まれるため、肝臓のアルコールを解毒するスピードを速める効果があります。
飲む前や飲みながら食べると悪酔いしてしまうため、飲酒後に食べると2日酔いの防止に繋がります。
キャベツ
良質な植物性たんぱく質、ビタミンC、カルシウムなどが多く含まれています。
また、ビタミンUという硫黄分を含んだアミノ酸が含まれており、
肝臓のアルコールの分解を助けたり、脂肪肝を防ぐ効果があります。
キャベツは水溶性の野菜なので、丸ごと摂れるスープなどの調理法がオススメです。
牛乳
たんぱく質、脂質、糖質、ミネラル、ビタミンがバランスよく含まれています。
中でも、牛乳のたんぱく質は肝臓に必要なアミノ酸が全て含まれているため、肝臓の強化にはうってつけです。
肝臓を強化するためには、毎日200ml以上の牛乳を飲むことをオススメします。
●肝臓に良いレシピ・オススメのおつまみレシピ
肝臓に良いレシピやおつまみレシピを以下にまとめました。ぜひ作ってみてくださいね。
しじみとわかめのスープ
しじみとだしスープの素を使っているので、いろいろな旨味を感じられます。
ぜひ、飲んだ後にお試しください!
<材料>(4人分)
・しじみ 300g
・わかめ 適量
・長ねぎ 1本
・ごま油 大さじ1
・水 900cc
・酒 大さじ2
・昆布だしの素 小さじ2
・鶏ガラスープの素 大さじ1
① しじみは砂抜きをし、長ねぎは斜めに切る。わかめは戻す。
② 鍋にごま油を熱し、わかめと長ねぎをよく炒める。
③ 水、酒、昆布だしの素、鶏ガラスープの素を入れて煮る。
④ 良く煮込んだら、しじみを入れて口が開いたら完成。
大豆の甘辛炒め
個人的に私が好きで、ぜひ試していただきたいメニューです。
箸が止まらなくなるぐらい、あっという間になってしまいます。。
大豆の水煮缶を使用しているので、簡単にできます!
カラカラになるまで十分炒めることがポイントです。
<材料>(4人分)
・大豆の水煮缶 150g
・片栗粉 大さじ3~4
・オリーブオイル 大さじ2
◎砂糖 大さじ1
◎しょうゆ 大さじ1
◎みりん 大さじ1
① 水分を切った大豆の水煮に片栗粉をまぶす。
② フライパンにオリーブオイルをひき、大豆を炒める。
③ 菜箸で混ぜながらしばらく炒めていると大豆がバラバラになってきますが、さらに炒める。
④ 大豆の表面に焼き色がついて、カラカラになってきたら、火を止める。
⑤ すぐにあらかじめよく混ぜておいた◎を加え、大豆によくからめて完成。
にんにくのホイル焼き
焼肉屋さんで有名なホイル焼きが家でも簡単にできます。
独特なにんにくの臭みがなく、じゃがいものようにホクホクしていてとても美味しいです!
アヒージョ用のフライパンだと簡単に作れます。
<材料>(2人分)
・にんにく 10粒
・ごま油 100~150ml
① にんにくの皮をきれいに剥く。
② 大きめのアルミカップやアルミホイルでカップを作る。
③ フライパンの上にアルミホイルを置き、にんにくとごま油を入れ弱火で煮込む。
全体に火が通り、柔らかくなればできあがり。
かぼちゃのひき肉あん
だしを使用している分、砂糖の甘さと醤油の塩分を控えめにしています。
作り置きメニューとしてもオススメです!
<材料>(2人分)
・かぼちゃ 1/4個
・鶏ひき肉(むね) 50~100g
◎酒 大さじ1
◎みりん 大さじ1
◎砂糖 小さじ2
◎白だし 大さじ1/2
◎しょうゆ 小さじ1
◎水 50ml
片栗粉 小さじ1
① かぼちゃは種を取り、皮をところどころ削いて一口大に切る。
② 鍋に1のかぼちゃの皮を下にして入れ、◎を全て入れて火にかけ、蓋をして火にかける。
煮立ったら落としぶたをして中火~弱火で煮込む。
③ ②のかぼちゃが柔らかくなるまで煮たら火を止め、お皿にかぼちゃを取り出す。
④ ③にひき肉を加え、再び火にかけ、よく混ぜながら火を通す。
⑤ 火を弱め、水で溶いた片栗粉を加え、とろみがついたら③にかけてできあがり。
適切な運動を心がけよう
脂肪肝の場合、脂肪を減らして肥満を防ぐ事が大切です。そのためには、効率良く体内に酸素を取り込み中性脂肪を燃焼させる有酸素運動が効果的です。
とある大学の研究によると、活発なウォーキングなどの有酸素運動を1日30分、3ヶ月以上続けたグループの脂肪肝が改善したといったデータがあります。
肝臓にたまった脂肪は運動の際の直接的なエネルギー源になるため、1日30分以上の運動を続けると肝臓の脂肪が減りやすくなります。また、運動を続ける事で脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというタンパク質は、血糖値を下げるインスリンの働きを高めたり、動脈硬化を防ぎ、心臓を保護するといった嬉しい働きがあり、善玉物質として注目されています。
運動するのが初めてという方も、1日1万歩を目指さなくとも1日30分程度、汗ばむ程度の速度で歩くようにすれば脂肪は燃焼します。ウォーキングに慣れてきたら、徐々に歩く時間と距離を伸ばしてみましょう。
まとめ
休刊日には、アルコールを摂取する総量を抑えるとともに、肝機能が回復するための時間を確保する役割があります。
お酒はほどほどに、健康な食事と運動を心がけ、適度な量で楽しみましょう!
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